実験室編24
俺たちはハイデルとの戦いでひょんなことから
ハイデルはドクターベルケルの実験内容を話しはじめた
そして衝撃の事実を知ることとなる
「ある装置ですよ」
「装置だと!?」
「ええ」
「それは…」
ハイデルは得意気に満面の笑みを浮かべながら
大きく目を見開き言った
「知能を半分にしてしまう装置です!!」
「!?」
「知能はもちろん脳に関わりがありますよね」
「知能を半分にしてしまうという事が
どんな重大なことであるか分かりますか?」
「知能ある者ほど論理的にそして客観的に考えます」
「もちろん例外もいますが…」
「しかしその論理的な考えがなくなれば
どうなると思いますぅ-!?」
「それに元々魔族は人間よりも本能で動く生物です」
「理性を失い本能の赴くまま…
どういう事か分かりますよねえ-!!??」
ハイデルは高らかに笑う
俺は最悪の事を想像してしまう
「まさか!?」
俺の表情を見てハイデルは語尾を強めて言った
「ええそうですよ-!!」
「手を取り合って仲良くしていた魔族たちが
突然人間の自分たちを襲い血肉を食らい
家族を襲い街を破壊する…」
「はっはっはっ想像してごらんなさい」
「人間たちはいきなり魔族に裏切られ絶望を叫ぶ」
「信用していた者からいきなり家族を殺され
血の涙を流し喚き
そして何故だあああ--!!!と天に向かって叫ぶ」
「幾万もの人間たちが血の涙を流しその絶望を喚き悲しむ!!」
「はっはっはっあのときの人間たちったら
そりゃもうなかったですよ--!!!」
「絶望と苦しみと突然信頼していた者から
裏切られたというあの表情…あの顔…」
俺たちは放心状態となり膝をつき全員固まった
「あっ…あっ…」
「何…と…いう…こ…と…を…」
そしてハイデルは高らかに笑う
「あっははははは最高ですねえ-」
「はははははいっひっひっ…いぃ-ひっひっっひっひ!!」
「きっさまぁあああぁあああああ------!!!!!!」
「あぁあああぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛------!!!!!!!」
「うぉおおおぉおおおお゛お゛お゛------!!!!!!!!」
俺たちはもう何が何か分からなくなっていた
気づけばみんなでハイデルに斬りかかっていた
するとハイデルは呆れたように言う
「はぁ…人の話は最後まで聞きなさい!!」
「ぐぁ…!?」
「きゃっ…!?」
気がつけばみんなハイデルの魔法で
元の位置の所まで吹っ飛ばされていた
みんなしばらく身体は動きそうもない
そしてハイデルは俺たちをキッと睨み言った
「皆さんそこでおとなしく聞いていなさい!!」
そして少し深呼吸をして話の続きを語り始めた
「それでは話の続きをしますねえ-」
「しかしそれから人間どもの反撃は素晴らしかったですよ-!」
「血の涙を流し怒り狂ったあの顔…」
「何が愛ですか何が平和ですか」
「そんな顔をして語る資格がどこにあるって言うんですか?」
「はははははは」
しかし突然笑っていたハイデルは驚いた表情で言った
「しかし強かったですねえ-」
「鉄の結束と言うんですかねあれ?」
「しかも魔族と親しくして戦争にも消極的だった人間どもが
一斉に蜂起し我々に刃向かってきた…」
「あれは誤算でした」
「それと魔族たちの行動は親しい者の所に行くことまでは
そこまで期待していなかったのですが
不思議なことに覚えていないとはずの
親しい人間の所へと向かって行った…」
「これは嬉しい誤算でした」
「それに何故でしょう」
「何も覚えていないはずなのに何故か涙らしきものを流しているような魔族もいました」
「やはり何か脳に関係あるんでしょうかねえ?」
「まだまだ研究の価値はありそうです」
「しかしお陰様でとても有意義な時間でしたよ…
いっひっひっひっ」
「それで我々は無事に魔界と人界の関係性を取り戻し
そして魔界へと帰ってきたのです」
俺は声を何とか振り絞り叫んだ
「お前が…いやお前らが今の魔界と
人界の関係性を作り出したのか!!」
「正解です☆」
「くっ…!」
すると突然頭の中にバ-ジェットと
初めて戦ったときの映像が浮かんできた
村長らしきゴブリンと仲良くする人間…まさか村長も!?
俺はハイデルに叫ぶ
「お前ゴブリンのことを知っているか!?」
「はっ?」
驚いた表情でハイデルは言った
「その人は俺たちの村の村長で…」
ハイデルは呆れたように言う
「ゴブリンなんぞ腐るほどいます」
「しかもゴブリンなんぞ最下級の者なんか
私が覚えているはずがないでしょう」
「……」
「おっと話の続きを-」
話の続きは俺の頭の中には入ってこなかった
ドクターベルケルの恐るべき発明…
魔界と人界との関係性を根底から覆した衝撃の新事実…
それに村長の事…
これ以上何の話があるというのであろうか
これは夢であって欲しい…そう本気で願った
しかしその願いは受け入れそうになかった
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