実験室編1

約束の丘を出発してから大分時が経っていた

「こっちです!」

マ-ニャの案内でマ-ニャが先頭となり

みんなを実験室へと導いていた

実験室で酷い拷問にあいあわや死ぬ寸前まで行ったのに

それなのに、そこに戻るだけでも

相当の覚悟が必要だと俺は思った

それからしばらくして…

するとマ-ニャが言った

「そろそろ実験室への近くへと来ています」

そういうとみんな気がひきしまった

「みんな…待っていてね!」

マ-ニャの気持ちは痛いくらいに感じてとれた

しかしある違和感が俺を襲う…

「妙だな…」

「ええ」

「敵の気配がない…」

「そうですね」

みんな不安がっていた

あまりにも順調に実験室へと進みすぎているのだ

するとミネアは言った

「私たち白魔女とマ-ニャがコンタクトをとっているのは

ハイデルがドクターベルケルに知らせて同然知っているだろうし…」

「はい」

「当然私たちの来襲を警戒して守りの兵や見張りを

配置させているのが普通のはず…」

「はい」

「罠かもしれないな」

「罠でも行く以外方法はない…」

みんなコクリとうなずいた

しばらくみんな無言だった

ハイデルのことだからどんな残虐な罠で

俺たちを待ち構えているか分からない

言いようのない不安がみんなを襲っていた

そんな不安をよそに順調に実験室へと近づいてく

その時…パキっ!と音がした

すぐさま戦闘体制へと入る…!

何もおこらない…

とある黒魔女が言った

「枝が折れただけのようです…」

「ふぅ…」

みんな苦笑いを浮かべた

それからしばらく進み突然マ-ニャが叫んだ

「あそこが実験室です!」

「あそこにみんなが…!」

実験室を見てみるととても実験室には見えなかった

実験室と聞くと大きな建物くらいを予想していたのだが

建物なんてものではない

その予想は大きく外れ小城のようだった

あの小城の地下にマ-ニャが捕らえられていて

そしてみんなが捕まっているらしい

幸い夜だったので見張りも少ない

この静けさは不気味だがハイデルがマ-ニャを

逃してしまった罪を恐れそのことをドクターベルケルに

報告していなかった可能性もある…

しかし事は一刻を争う

今以外にチャンスはない

罠だとしても俺たちの選ぶべき選択肢は一つしかなかった

闇に乗じて小城へと進む

外壁へと近づいていた

その時…!

辺り一面一斉に松明の火に明かりがついた

今度こそ罠以外疑いようがなかった

やはり罠か!そう思ったとき城の上から

大きな声が聞こえてきた

「ガハハハ…」

「ハイデル様の言った通りまさかとは思ったが

罠を張っておいてよかったわい」

すると怒声のような大きな声で言った

「我が名はゼットン!」

「この城を守りし者の1人!」

「飛んで火に入る夏の虫とは何とやら…」

「いでよ我がしもべたち!」

そう言うと城の上から敵兵が…

そして森の地面の下から突然敵兵が現れた!

すると城の上から大きな声ぎ聞こえてくるで

「ガハハハ…それとまぁ無理だと思うが

ハイデル様からの伝言だ」

そう言い終わると突然ゼットンから生気が消えた

無言でその場に立ちつくしていた

不気味だった

そしてその口が開いたとき

とんでもない声の主の声がしてきた

何とゼットンの口からハイデルの声がしてきた

「おー遠路はるばるご苦労様ー」

「またお会いできて光栄ですねえ」

「しかしこの前会った森のときのようにはいきませんよ?」

「ドクターベルケル様や私に会いたければ…

私たちのいる地下までたどり着いてみせなさい」

「かわいい-他の者たちも血涙を流しながら

あなた方が来るのを心待ちにしていますよぉ?」

「おっ-ほほほほ-!」

しかしその言葉を聞いたとき怒りに震える者がいた

マ-ニャだった

「かわいい-他の者たちとは私の命を

助けてくれたみんなの事かあああああ!!!」

見ると荒々しくマ-ニャが怒っていた

そのマ-ニャの目には憎しみと焦りと恐怖が混じっていた

しかしゼットン…いやハイデルからの反応はない

無言のハイデルを不気味に思いながらも

注視しているとゼットンは我にかえったようだった

「ハイデル様の伝言は伝えおわったようだな」

マ-ニャのほうを見ると唇を噛みしめ押し黙っていた

するとゼットンは高らかに宣言した

「グハハハ…覚悟しろ!」

「死して再びハイデル様のお役に立てい!」

みんな円陣を組み一斉に構えた

城の上から指揮をするゼットンの声がしてくる

「ゴブリンア-チャ-前へ!」

「矢に火をつけ…放て--い!!」

無数の火矢が俺たちをめがけて飛んでくる

すると対抗するように俺たちも戦いを始めた

「氷魔の風!」

「アイスウィンド!」

白魔女や黒魔女たちが様々な魔法で

何とか火矢は防いだ…

しかしキリがなかった

どんどん上空から無数の火矢が飛んでくる…

城のほうを警戒していると後ろの森側からも敵がやってきた

俺たちにもはや逃げ道はなかった

しかし空はいつものように暗闇に輝いていた…

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