黒魔女、白魔女編12

喜びは終わりみんな落ち着いたころ

みんな冷静になりバ-バラやミネア、

マ-ニャやみんながシェリルに頭を下げた

もちろん俺も

「マ-ニャを救って頂いてありがとう」

「ありがとうございました」

「お母様ありがとう…」

「いえいえ」

「私は何もしていません」

「私1人ではマ-ニャを救うことはできなかった」

「みんなの強い思いがあったからこそ

マ-ニャを救うことができたのです」

「私はそのためにここに来たわけですしね…」

「それじゃあ…!?」

フロ-ラル様は泣きそうな顔をした

「ええ…」

「目的を達成した今私はもうすぐ消えるでしょう」

「!?」

「お母様…もうすこ…」

「フロ-ラル…」

「最後まで心配かけてごめんね…」

「お母っ…」

「でも周りにこれだけの家族や仲間たちがいるじゃないの…」

「あなたは強くなった…」

「もう白魔女も黒魔女も関係ありません」

「みんな力を合わせてこれからを生きて行きなさい」

「ここにいるバ-バラやみんなと…」

「できるわね?」

「はい!」

そう力強い声で言った

「よろしい」

そうニっコリと微笑んだ

それから俺たちの方に振り向きこう言った

「最後に言っておきたいことがあります」

「ワタル…」

「ツバサ…」

「バ-ジェット…」

「はい」

「あなたたちからは何か大きな力を感じます」

「…力…?」

「はい」

「俺たちは別にそんな…」

「聞いてください」

「は、はい…」

「私が消える前に最後の力を使ってあなた方を占わせてください」

「!?」

フロ-ラル様やバ-バラ、みんなの顔つきが変わった

「占いなんて別に…」

「ワタル!」

「シェリルの占いはすごく当たるんだ」

「お母様の占いはすごいの!」

「絶対当たるの!」

俺は圧倒され渋々占いを受けることにした

「わ、分かりました…」

「そこまで言うなら…」

占いを信じてないわけじゃないが、

シェリルほどの実力者が占うというなら受けてみようかなと思った

別に俺たちは力とか大それたものは持ち合わせてないし

ただ目的があって集まってるだけだ

「ありがとうございます」

「これから占うことは個人の問題です」

「皆さんもいろいろな事情があるでしょう」

「イヤなこともあるかもしれません」

「辛い占いになってしまうのかもしれません」

「ですので個別に占わせて頂きます」

「分かりました」

そう言い誰もいない外れの方へ行こうとしたときに

フと横を遠巻きに見るとフロ-ラル様はバ-バラに何か用があるようで

話しかけ二人でどこかに消えていった

二人が森に行くのを見届けながらシェリル様の後を着いていった

「ワタル…あなたから来てください」

「分かりました」

そう言い俺はシェリルの前へ行った

目の前に大きな水晶があった

圧倒的な存在感がそこにはあった

「それでははじめます」

「はい」

水晶に何か念じ手をかざしたときに…

何か感じとったようだった!

「こっこれは…!?」

「シェリル様…何が!?」

「ワタル…」

「やはりあなたからは何か運命の大きな力を感じます…」

「他の人にはない…」

「何でしょうこの感じは…」

「今まで感じたことはありません…」

「!?」

「それと…こ、これはパトリオッ…!?」

「パトリ…何ですか?」

「ワタル…知らないのですか?」

「ええ…パトリ何とかなんて聞いたことないです」

「そう…」

「そのパトリ何とかって何ですか?」

「いえ…何でもないわ」

「本人が言ってないのなら

私が言うわけにはいかないですしね…」

そうワタルに聞こえない声でポツリと言った

俺はシェリル様が何か言ったような気がしたが特に気に止めなかった

「他に何か見えますか?」

「いえ…何も見えなりました…」

「ただ分かったことはあります」

「あなたはこれから身を切るような数々の苦難が襲いかかってくるでしょう」

「それに負けず頑張ってください」

「分かりました」

そう言い俺はシェリル様の前をあとにした

何かシェリル様が言いかけていたのか気になるが

特に気にしないことにした

「ツバサ前へ…」

「はい」

「よ、よろしくお願いします」

「あなたは人間なのですね」

「はい」

「僕がこの魔界に捨てられていたのを村長や村のみんな、

そしてワタルに助けてもらい育てて頂きました」

「そうですか…」

「あなたも…」

「僕が何ですか?」

「いえ…何でもありません」

「?」

「それよりツバサは自分のルーツを探してるのですよね?」

「はい」

「人界にあなたのルーツのカギとなるものがあると出ています」

「人界…」

「やはり…人界に僕の父と母がいるのでしょうか?」

「そこまでは…私には分かりません…ごめんなさい…」

「でも親にとって我が子は宝のようなもの」

「何かよほどの事情があって魔界にあなたを置いてきたのでしょう」

「あなたを置いてくるには想像を絶する苦悩と葛藤があったはずです」

「親を責めないであげてください」

「分かりました、ありがとうございます」

「しかし僕は親を恨んではいません」

「いや恨んではないといえば少し嘘になりますが…」

「でも僕がこの世に生を受けたのは親のおかげです」

「親が生んでくれなかれば僕は今こうしていなかった」

「ワタル、村長たち、そしてここにいるみんなと出会うこともなかった」

「あとある物が僕を守ってくれました」

「ある物?」

「はい、この黒刀という刀です」

そうツバサは黒刀を手に取り温かい目で見た

「村長たちが僕を発見した時に

何か僕を守るようにして横にポツンと置いてあったそうです」

「この黒刀がなければブラックゴブリンたちと戦ったときに

死んでいたことでしょう」

「この黒刀からは何か温かいものを感じます」

「ですので何があったのか分かりませんが僕は親を信じようと思います」

「あともし会うことがあればある一言を言ってあげたいです」

「一言?」

「はい…」

「僕を生んでくれてありがとうと…」

「!?」

「そうですか…」

「今の言葉を親が聞けば泣いて喜んでくれると思いますよ」

そう涙を滲ませながらシェリル様は言った

「ありがとうございます」

「さて…何も見えなくなりました」

「そうですか…」

「親に会えるといいですね」

「はい、ありがとうございます」

そう言いツバサはシェリルの前を後にした

ツバサが帰ってきてシェリル様が俺たちの前にきた

「バ-ジェット私のあとを着いてきてください」

「おう!」

そう力強く答え奥へと消えていった

「ここに座ってください」

そう言いバ-ジェットが座ったのを確認して再び水晶に手をかざした

「こ、これは…」

「バ-ジェット…あなたもまた深く暗い闇を抱えていますね」

「!?」

そう言うとバ-ジェットの顔つきが変わった

「もしやと思いましたがお見通しですか…」

「はい…」

「何があったかまでは詳しくは見えません…」

「ですがはっきりと…」

「このことはワタルやツバサたちには?」

「言っていません」

「そうですか…」

「あの二人が知ると心配して自分のことなんかお構い無しに

首を突っ込んでくるのは目に見えていますしね」

「心配をかけたくないんです」

「でも…その時がくれば話そうと思っています」

「俺のことを全部…」

「そうですか…」

「他に何か見えますか?」

「ごめんなさい…何も見えなくなりました」

「分かりました」

そう言いバ-ジェットはシェリルの前を後にした

バ-ジェットが少し真面目な顔で帰ってきた

何か言われたんだろうか?

心配になって何を言われたのか聞こうとしたがやめることにした

個人の問題だと思ったからだ

何かあればバ-ジェットも俺たちに打ち明けてくれる

そう俺は信じている

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