第9話 魔界の町並み

 城から出たオレ、ミサキ、トキワ。歩いていると自然豊かな光景が辺り一面、まさに絶景である。木々の木漏れ日がまたすばらしい。癒やしだね~。ミサキは、白黒チェックリボンのワンピースでいいね~。うん、かわいい。トキワはあのジャージのままだ。

「隆史さん。魔界と言ってもとても広いわけではありません。」

「そうなの?」

オレはだだっ広い国を治めていると思っていた。

「はい。確かにいろんな魔族たちがいますが、昔、魔族たちが戦争を起こしていて、どんどんひどくなる一方でしたが、私たちのお父様が統一をはかりました。ちなみにお父様はほとんど戦争をしていません。対話で統一しました。」

「すごい方だね。」

オレは感心した。基本はこういうものは戦争して、領土を広げ、戦勝国が負けた国に対してありとあらゆる物を取ったり、ひどいことをしたりと……と言うイメージでした。

「この魔界はどういう構成なの?」

「はい。魔族たちがお父様に挑んで失敗した方たちもこの国のために働いています。皆様、とても仲良しです。この国はいろいろな魔族たちが一つになって構成されてます。政治は魔族長がいて、この方たちとお父様が一緒になって決めています。」

「そうなんだ。」

そこにトキワが混ざって

「私だったら力で何とかできるんだけどね…けど、しない。」

「ああ。間違いない。トキワ嬢は強すぎる。オレも対話で解決してください。」

「隆史は無理。」

「何それ?」

オレ、ミサキ、トキワの笑い声がこの自然にこだまする。空気も澄んでいて、まさしく平和だね。


 魔界の町にたどり着く。オレは驚く。

「何これ!?本当に日本と変わらないじゃん。」

オレのイメージと全然違う。ロールプレイングゲームの町並みを想像してたのに…町の入り口からアスファルトの道でビル群が並んでいる。東京の町並みと考えていい。

ロールプレイングゲームのお城の町並みを近代化したと思った方がいいか…。さらにモンスターたちがスマフォ片手に電話したり、ビジネスマンと思わしきモンスターが走っている。とてもシュールに見える。決定的に違ったのは自動車が走っていない事だ。ああ、これなら環境にいいね。

「そうですか?」

「うん。多少は日本と違うけど…」

「ここは中心街だよ。少し外れると住宅街になって、さらに外れの町並みがあるんだよ。」

トキワがオレに説明する。

「ここから、少し歩きますが市場がありますので行きますか!?」

ミサキもすこしテンションが高い…。

「うん。行こう。」

オレ、ミサキ、トキワで市場まで歩く。

「トキワ、トキワ。」

「何よ。隆史。」

「ミサキ、テンションが高くない?」

オレはトキワに小さい声で軽く耳打ちした。

「ミサキ姉様。ここに来るの久しぶりだからね~」

「そうなんだ。」


 市場まで歩く所で、いろいろな店がたくさんある。近代的な町並みから段々、ヨーロッパ風の町並みに変わっていく。そうそう、これこれ!オレが望んでいたロールプレイングの世界ではないか!!これはオレもウキウキしちゃう!気になるのは魔族の方々だね。人間ぽい魔族とモンスター系の魔族の女性の方たちか…井戸端会議してる。ちょー聞きてー!!

「やっと市場だね。」

トキワがお腹減っている感じだ。

「結構歩いたからね。」

ミサキも同様な感じである。

市場全体はまさにヨーロッパの市場と考えて良い。威勢の声がたくさん聞こえる。

「食べ歩きするの?」

オレはミサキ、トキワに言う。

「いいえ。この先にとてもおいしいって有名なお店に行きましょう。」

「さすがミサキ姉さん。私も賛成。」

市場の有名店に歩く途中、武器屋があった。オレは興味が惹かれる。

「おおー。武器屋だ。当然魔界にあるんだね~。」

「隆史さん。興味があるんですか?」

「いや~日本にはないからね~。」

「そうなんですか。けど、武器を買うには大変な手続きが必要なんですよ。」

「そうなの?」

「はい。店内が見えるでしょう。」

武器屋の店内は窓ガラスごしに見える。

「あれ?魔族の方がほとんどいない。」

「はい。武器を買うにはの提示が義務づけられています。」

「え!?身分証明が必要なの?」

「はい。今、戦争が起きていないのは、武器を魔族の方々から没収してるからです。どうしても、必要になる場合は身分証明書を提示して、書類を書いて、魔界の警察署から許可がおりればやっと購入ができます。当然、未成年者は購入できないんですよ。」

「じゃあ、武器屋は儲からないのでは?」

オレは単純な疑問が起きる。

「はい。だから武器はとても高級品になっています。とてもお金持ちの方でないと買えません。しかも、身元がわかっているので、もしものことがあったら、すぐにばれちゃいます。」

「へえ~」

ゲームの世界なら簡単に買えるのに…身分証明書の提示…もし、ゲームだったら勇者、世界救えないじゃん…

そして、市場の有名店に着く。そしてお店に入る。


「いらっしゃいませー!!」

威勢の良い声が聞こえる。

「あっ!!ミサキ様、それにトキワ様まで。」

「いつも、お世話になっております。」

ミサキが店員にお辞儀する。

周りのお客全員がオレ、ミサキ、トキワを見る。その途端…

「わあー!!ミサキ様、トキワ様よ!!」

「とってもお綺麗な方だね。」

みんな尊敬の眼差しだ。これはすごい…

「すみません。ただいま満席でして、店長に掛け合いますね。」

店員の方が急いで店長の所に行こうとする。そこにトキワが

「いいよ。いいよ。ここで待ってる。」

「そうですね。隆史さん。いいですよね。」

「全然構わないよ。」

近くの椅子に腰掛ける。すげ~みんな見てるよ…。

そこに、店長らしき方が来た。店長らしき方が

「申し訳ありません。ただいま満席でして。VIP席がありますがどうでしょうか?」

「いいえ。待ちますよ。特別扱いなんてしなくて結構ですよ。」

ミサキが笑顔で答える。

「申し訳ありません。」

再度、店長が謝る。お客たちが

「本当にいい方だね~。本来は特別扱いしなきゃいけないのにね~。」

「もっともだ。こういう御方が上にたたれているのがすばらしい。」

もう、本当に尊敬の眼差しがすごい。オレもそこに入っているかな?んなわけないよね。


席が空いて、やっと食事ができる。お任せコースがあって、それをオーダーした。食事がでて、食べてみるとこれがうまし!!いつもこんなものがでている魔界すごい…。食事がある程度おわりオレは一番気になることを言う。

「ところで、勇者っているの?」

「はい!?」

ミサキが驚いている。何で驚くの?トキワが

「いやらしい…」

「何でいやらしいの?」

「隆史さん。男の子ですからね。気になりますよね…」

ミサキが恥ずかしそうにしている。なんで、恥ずかしがるの?

「隆史。こんなところで勇者の話しないでくれる。」

「そうなの?いけないの?」

「本当に知らなそうだね…」

トキワが怪訝な顔している。ちょっと待ってよ。勇者って魔界だから話してはいけないものなの。まぁ、しょうがないよね。ゲームの世界なら相対する間柄だからね。もしかしてなよなよな言い方で”ゆうしゃ”って言い方がエロいんだね。

「城に戻ったら、ヤワタ兄さんに聞いてみたら…。」

トキワもどこか恥ずかしそうだ。

「………………………。」

ミサキは顔を下にしたまま赤らめている。なんで?

食事をした後、どこか気まずい雰囲気になって城に戻った。

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