第2章

第8話 魔界の朝食

 朝になり、オレは起きる。隣にいたミサキはいなかった。すでに起きて自分の部屋に行ったのだろう。近くに置き手紙があり、<先に起きてます。これからがんばりましょう。>とあった。本当にいい子である。とその前に、今日は何しよう?認証式は明日みたいだから、やることがない。とりあえず部屋を出て、町並みでも見るとするか…


 部屋を出て、外に出ようとするが、いかんせん、城が広い。すでに迷子になった。周りが朝なのに少し暗い。誰もいない…時計の針の音だけが聞こえる。やべ~。オレは泣きそうになる。

「ここ…どこ?」

オレは独り言をつぶやく。そこに

「あれ?志津隆史じゃん。どうしたの?」

トキワがそこにいた。トキワは白い上はジャージで、下は白いミニスカート、すらりとした曲線美で素足でサンダルを履いていた。特に胸が強調されてるんだけど…そんなトキワにオレはトキワに抱きつき

「トキワ!!怖かったよ~!!」

「何?どうしたの?」

トキワは少し顔が赤くなりながら、びっくりしている。


「な~んだ。迷子になったの?ここ広いからね。私も小さい頃はよく迷子になったよ。」

トキワは笑っている。オレにとってみれば笑い事ではね~んだよ。

「いや、マジで怖いよ。城全体が暗いんだよ。」

「私に文句言われてもね~。」

「確かに……。」

「ところで、今日はどうするの?」

「外にでようかな、と思ってるんだ。」

「私が案内してあげようか?」

「本当?」

「いいよ。今日、私も暇だし。」

「よろしくお願いします。」

オレは頭を下げる。

「よろしくね。」

トキワはにこやかにオレに向かって言った。トキワは笑顔がいいんだけど、暴力がひどいんだようなぁ~。トキワが突然…胸ぐらを掴み

「隆史。何か変なこと考えなかった?」

「な…にも考えてないよ…。」

こいつ勘が鋭すぎるだろ。

「とりあえず、朝ご飯食・べ・よ。」

トキワが笑顔で

「うん。そうしよ。」

オレは恐怖で……………


 オレとトキワは朝食をとるため食堂に移動し、食堂に着く。食堂には城で働く方たちがいた。その従業員の方は人間ぽい方たちがほとんどだ。まあ、明らかなモンスターの方もいるんだけど…

そして、食堂のテーブル席に座る。

「こんなに働く方たちがいたんだ。」

オレはびっくりした。この前、こっそり城に入ったから従業員たちに会ってないのだから無理もない。そこに、従業員の方が

「トキワ様、おはようございます。こちらが例の御方ですか?」

「おはよ~。そうだよ。例の方だよ。」

その他の従業員の方たちも来て、

「この御方が例の御方ですか?」

「ほほ~例の御方、さぞかしできる御方なのでしょう。」

やめて!!なんちゃらやめて!!連想するから…オレは従業員の方たちに

「おはようございます。これからよろしくお願いします。」

オレはお辞儀をする。そして従業員の方たちが拍手して

「よろしくお願いしますね。」

「よろしくな!」

「期待しているぞ!!」

こんな声が聞こえた。そんなに期待されるとプレッシャーが…あっ!?オレお腹が痛くなるかも…

「ところで、トキワ…」

「何?」

「ミノリさん、ミサキ、ヤワタその他はどうしてるの?」

「あ~。私、いつも朝はここの食堂で食べてるんだ。おいしいし、たぶん、各々、朝ご飯食べてると思うよ。」

「ふ~ん。」

オレはジッと~っした目を向ける。

「ちょっと!私だけハブにされてると思ってる?違うからね。」

「ふ~ん。」

「本当に、違うからね。お母様は自分の部屋で朝食とってるし、ミサキ姉さんも同じだし、ヤワタ兄さん、ノブト兄さんも同じだよ!!」

「ふ~ん。」

言った途端、、、殴られました…。おれ、ふ~んしか言ってないじゃん。


「とりあえず、何食べる?」

ボコボコにされたオレは

「おすすめで…」

「そうだね~。おすすめは私もよくわからない魚を使った料理がおすすめだね。」

「よくわからない魚?」

おいおい…大丈夫かよ!?

「そう。けどすごくおいしいよ。」

「そのお魚さん。毒とかないよね?」

「わからないわよ。けど、おいしい。」

そこまでおいしいと言うならそのお魚さんで覚悟を決めよう。

「オレもそれにするよ。」

「オッケー!」

「で、いつ来るの?」

「何言ってるの?隆史。あそこで食券を買って料理しているおばちゃんに渡すんだよ。」

「そうなの?食券を買うの…」

従業員の方がトキワの所に来て、食事の内容を聞いて、持ってくるじゃあないの?これじゃあ日本の大学の食堂と変わらない。イメージが…

「オレ、お金持ってないよ?」

「いいわよ。私のお・ご・り。」

トキワがオレの鼻に指でちょんちょんとさした。おごりはうれしいのだけど…

なんかな~


 食券販売機にはたくさんの従業員の方が並んでいる。日本の大学と変わらない。オレとトキワも列に並ぶ。そこに前に並んでいた方が

「トキワ様、前どうぞ。お連れも御方も。」

「いいよ。別に…先に並んでたんでしょ。これから仕事なんだから早く食べないとね。」

「そうですか…ありがとうございます。」

 このやりとりをオレは見て感心した。たとえ王族でも、従業員の方にもちゃんと気配りができる。オレ、トキワを見直したぜ!オレは感心してトキワを見る。

「どうしたの?隆史。」

「いや~感心しちゃったよ。」

「そう?いつものことだよ。」

「それが偉いんだよ…」

 食券販売機の前に立つ。販売機にはたくさんのメニューがある。ん?よくわからない。オレはトキワに

「そのよくわからない魚はどれ?」

「これだよ。」トキワはお金を入れてボタンを押す。

そこをよく見ると『???魚定食』なっていた。おいおいおい。大丈夫?食堂に働いている方もわからないの?他のメニューは『昆虫定食』、『G定食』、『お肉?定食』など様々だ。『G』ってあの『G(ゴキ?)』?、『お肉?』って何?

 食券を持って今度は料理を出しているおばちゃんの所へ行く。トキワが

「おばちゃん!いつものやつで。」

「あいよ。トキワちゃんいつも元気で私も元気出ちゃうね~。ほら。いつもの。」

「ありがとう。」

「あれ?この人は?」

「例の人だよ。」

「ああ~例の」

だからはやめて!

「ほら、トキワちゃんと同じやつね。」

「ありがとうございます。」

オレはおばちゃんにお礼する。するとおばちゃんは

「これから大きくなるんだから、たくさん食べないとね。魚追加しておくね。」

「えっ?(よくわからないお魚追加しないでよ!)。」

「ほ~ら。」

おばちゃんは魚を皿にたくさん追加する。

「ありがとうございます。(やめて~~~~!)」


 オレ、トキワがおぼんに載った定食を持って先ほど座っていたテーブル席に戻る。しかし、別の従業員がすでに座っていた。

「あ~あ。席とられちゃったね…。」

トキワが少し残念がっていた。

「日本でもこういうことよくあるよ。」

「そうなの?席の取り合い大変なんだよね。」

「うん…よくわかる。」

本当によくわかる。席を先に取っていたが後の人がそれをわからず座っちゃうの…ひどいのは、先に席を取って荷物を置いていたが、その荷物をどかして、座っちゃうやつだっている。これが本当に困る。席に戻ると荷物が適当な場所に置かれてて、その荷物を取りに行くと、何も悪びれることなく後に座っている人が無言の威圧感を出す。しょうがないと思いつつも自分の荷物を取って別の席に座るんだよね~。

 別の席に座り、オレ、トキワが定食を食べるのだが…定食の魚をよく見ると赤身ががった色味でうまそうではないか。

「この生の魚最高~。……う~ん、おいしい。隆史も早く食べな。」

トキワがウキウキしながら食べてる。よし、オレも食べよう!

パク…モグモグ…これは!!

「あ~。これマグロだと思う。」

「マグロって何?」

「日本ではポピュラーな魚で、日本ではほとんどの人が食べてるんだ。しかも、うまい!!」

「そうなの?今度、日本に行ったときこれたくさん食べたいな。」

「うん、これはおすすめだね。けど、何でこの魔界にあるんだろう?」

「さあ~?わからない。」

トキワは首をかしげる。オレもかしげる。まあ、うまいからいいか。

「これ食べたら魔界を案内するよ。」

トキワはウキウキしている感じがする。

「そうだね。よろしく。」

そこにミサキがやってきた。

「あら、隆史さんこんな所にいたの?」

「おはよう。ミサキ。」

オレは挨拶する。

「おはようございます。隆史さん。トキワもいたの?」

「おはよう、ミサキ姉さん。どうしてここに?」

「隆史さんを探してたの。魔界の街を案内しようと思ってたの。」

「私たち、これから外に出るんだ。ミサキ姉さんもどう?」

「いいでしょうか?」

ミサキは隆史に向かっていった。

「いいよ。みんなでいた方が楽しいからね。」

「よ~し。じゃあ行きますか。」

トキワがはりきる。

「行こうか。」

オレもトキワにつれて言う。

「はい。」

ミサキも笑顔で言った。

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