第7話 少しの休息

 客室でくつろぐオレ。今日一日でいろんな事があった。口頭試験のでの失言から千葉みなとへ行って、拉致される。魔界へ行っては、魔王一家に会って、そして法務員委員長に任命。今日ほど、濃密な一日はないほどだ。今は深夜みたいだ。魔界にも夜があるようだ。椅子から立ち上がり、窓をあけ見上げる。きれいな空だ。周りを見ると、でかいビルがそびえ立つ。ここはほんとに魔界?と思わせる。日本そのものではないかと疑ってしまう。とりあえず、家族に連絡だ。ミノリから地球にもつながるスマフォを貸してもらった。本当につながるのかな。半信半疑で連絡してみる。プルプルプルとつながる。マジか!!


「もしもし、だれでしょうか?」

母さんにつながった。

「母さん、オレ。」

「隆史!本当に隆史なの?」

母さんが驚いた声が聞こえる。

「うん。オレオレ。隆史だよ。」

「ごめんなさい。オレオレ詐欺は間に合ってます。」

母さんが電話を切ろうとする。

「ちょっっと待ったー!隆史本物だよ。千里の子供の隆史だって!」

慌てるオレ。

「その対応は隆史ね。どうしたの?今どこなの?」

「今は、友達の家にいるよ。」(魔界にいるのは信じられないだろう。)

「本当?隆史って友達いなかったはずよ。」

「何言ってるの?友達ぐらいいるよ。」友達はごく少数はいます。

「そう。よかったわ。なかなか帰ってこなくて心配してたんだよ。」

「ごめん…」

「あっ。ちょっと待ってて。」母さんが電話を代わる。

「兄ちゃん、今どこなの?心配はしていないけど気になるでしょ!」

妹さやかが電話に出る。

「ごめんな。友達の家にいるよ。」

「本当?」

「本当だってば。」

この家族、オレに友達はいないと認識されてる。

「生きていればいいよ。早く帰ってきてね。」

「なるべくそうするよ。」

母さんに代わる。

「隆史、友達の人の家族に迷惑かけてはいけないよ。早く帰ってきてね。」

「そうする。じゃあまたね。」

「はい。またね。」

母さんの声が柔らかく感じる。なんだかんだで妹も心配してくれている。やっぱり家族はいいものだ。


 段々寒くなってきた。窓を閉めよう。窓を閉め、椅子にもたれる。これで一安心だ。疲れたと改めて思う。今後はどうするか考えないといけない。とりあえず、オレだけでは無理だ。だれか手助けしてくれる方を探さないといけない。ノブト以外だ。あいつを採用したらひっかきまわすのは間違いない。だれがトップなんだとなってしまう。今日は考えてもいい案は出てこない。とりあえず寝よう。それからだ。うん!寝よう。それからだった。


 ”トントントン”


「はい。」

「私です。ミサキです。」

どんな用かな?ドアを開ける。

「失礼します。」


「来ちゃいました。」

「いえいえ、どうぞどうぞ。」

ミサキを迎え入れる。ミサキの格好がどうもおかしい。寝巻の姿だか、下着が透けて見える。シースルーみたいだ。大きい胸、引き締まったお腹、しなやかな足全部見えている。正直、ドキドキだ…。

「今日は本当にご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。」

「いえいえ。」

「疲れましたよね。」

「はい…」オレはまともにミサキを見れない。

「あの…どうしたのですか?」

「はぁ…とても言いにくいのだけど、ミサキの服がちょっと……」

ミサキは自分の姿に気づく。

「あっ!!申し訳ありません。これがいつもの格好で…」

慌てて近くのクッションで隠す。


────────────────────


オレとミサキはベットの上に座る。ミサキはクッションで体を隠しながら、改めて話し始める。

「本当にこれで良かったのですか?」

「うん。これでいいよ。家族とも連絡取れたし…」

「そうですか?今ならやめられますよ。」

月の光がミサキを照らして見える。

「男がハイと言った以上は最後までやり遂げる。これ母さんの受け売り。」

オレはミサキに答える。

「わかりました。………ご家族との連絡が外に聞こえていたんで、寂しいのかなと思い来ました。今日は一緒に寝てあげます。」

「本当?」オレは声を上げる。



「変なことをしたら命はないと思ってください。」

ニコニコしながらミサキは言う。

「………はい。」


二人が一緒にベットに入る。でかいベットだったので、寂しいと思ったが二人でちょうどいい感じだ。オレはドキドキしながら目を閉じる。そこからミサキの声が聞こえた。

「今日は本当にごめんなさい。」

「いいよ。何度も。」

静まりかえる所にオレはミサキに

「これから、オレの仕事、手伝ってくれますか?」



「…………………はい。喜んで。」



 ミサキの表情はわからない。けど、うれしそうな声だったのは間違いない。この心地よさをかみしめながらオレは寝た。

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