第12話 認証式

 昨日の疲れが残っています。夜遅く帰ってきて、ミサキが心配して、ヤワタを怒鳴りつけ、ヤワタは

「これは、不可抗力です。だから、ゆ・る・し・て。ニコ。」

こう言って、さらにミサキを怒らせて、トキワを連れてきて、折檻されてました。ご愁傷様です。ヤワタ。


 ついに、法務委員の仕事が始まる。その前にコウダンのおっさんと話していたが、任命式があるみたいだ。魔族会で承認された後、ミノリから認証つまり認められるて晴れてお仕事を始められる。

 魔族会の承認がとても気になるところだ。オレをよしとしないものがいるのではないかと考えてしまう。


 ”トントントン”


「はい。」

「私です。ミサキです。」

「どうぞ」

ミサキが入ってくる。

今度は、キャリアウーマンみたいな格好をしている。この方、コスプレ好き?

「どうしたの?この格好?」

「今日からお仕事が始まります。私も隆史さんを手伝うため、地球の本を読んで、働く女性はこんな格好をするみたいなので…」


「似合いませんか?」ミサキは上目遣いをする。

「いいえ。本当に似合います。」

「よかった…」ミサキは喜んでいる。

「これからどうすればいい?」

「はい。これから、魔族会に出席してもらって法務委員委員長の承認をしてもらいます。」

「これが気になるんだよな…」

「と言いますと?」

「オレをよしとしない方がいらっしゃるのではないかと思ってしまいます…はい。」

「大丈夫ですよ。」

「何で?」

「私たちのお父様が隆史さんに会った後、すぐに書面で魔族会に出したみたいです。魔族会の議長も了承していたみたいです。むしろ魔族会の皆様も、隆史さんに期待しているみたいですよ。」

「責任重大だね。」

「そんな重い表情しないでください。私も手伝います。」

「ありがとう。そうだ。ミサキ。」

「はい?」

「あなたを法務委員副委員長並びに私の秘書をやって頂けますか?」

「はい。うれしいです。責務を全うさせて頂きます。」

ミサキは隆史の前に行き膝をついて手を握る。何これ?なんかの儀式?

「こういう風に任命されたらやってくださいね。」

「そういうものなんだ。気をつけるよ。」

ドキドキしちゃった…。


「ところで…」

「はい。何でしょう?」

「着替えたいのだけど…」

「申し訳ありません!今、部屋を出ますね。」

すぐに部屋を出るミサキ。


「よし、これからだ!!」顔の頬を二回たたき気合いを入れる。


早く着替えよう…


 着替えが終わり、スーツ姿になる。魔界の専用の正装姿になるのかと思ったがどうも違うみたいだ。本当は私服のほうがいいのだが、仕方がない。部屋を出るとミサキが待っていた。

「とても、お似合いですよ。」

「ありがとう。では行こうか。」


「はい。こちらです。」

ミサキが道案内をする。

「少しお城から遠いです。任命式の前に魔族会の承認があるので、魔族会に出席してもらいます。すぐに終わるので、その後、別の部屋にいって、お母様から任命してもらいます。」

城をでて、馬車に乗る。馬車に揺られつつ、魔族会の会議場につく。日本の国会議事堂よりも威厳があり壮大だ。なりよりでかい。 オレは見上げつつ歩く。そして会議場に着く。

「こちらでお待ちください。」

ミサキが会議場裏の部屋に案内する。


 魔族会のいろんな方が談笑しているのが聞こえる。段々緊張してきた…


 魔族会の議長が号令をかけるのが聞こえる。魔族会の方々が談笑をやめ、そして、魔族の長たちが軽く片手を挙げる。

 『魔界に栄光を…』

どうやら、魔族会の始まりの合図のようだ。議長が議題を言う。

「本日は、コウダン様の要望により新たに法務委員会を立ち上げることになり、これに伴い、コウダン様推薦で法務委員会委員長を承認する運びとなった。志津隆史殿、議場に入ることを許す。」


 魔族会の方々が盛大な拍手をしている。

「隆史さん。行きましょう。」ミサキが手招きする。

「よし、行こう。」

ミサキの後について議場に入ると、モンスターみたいな魔族、人間みたいな魔族など様々な方が拍手をしている。そして、議場の中心に立たされる。隣にミサキがいるのが幸いである。が、はずかしい!!あれ?風俗店長マツド、サクラもいるではないか。マツド、サクラも盛大に拍手してくれてる。ありがとうー!!

どこからか、声も聞こえる。<この子が志津隆史か。><コウダン様の推薦だ。できるお方なのだろう。>さまざまな声が聞こえる。ヤバイ…すごいハードルが上がってる。

拍手がやむと、議長が全員に


「この者が志津隆史殿である。本日をもって、法務委員委員長に承認決議をする。承認する者は盛大な拍手をお願いする。」


そのとたん、”ワアーー”とあふれんばかりの拍手が鳴る。その時、オレは疑問に思ったが拍手で物事が進むの?大丈夫なの?と思ったがまあいいとしよう。


「隆史さん。これで承認がおりました。良かったですね。」

「ありがとう。(本当にいいの?)」



 議長が隆史に

「魔族会の承認がおりた。一言お願いする。」

「わかりました。」


 議長が「静粛に!」と魔族の方たちに声を上げる。

一斉に静かになり、隆史の一言を聞こうと、耳を傾ける。


「初めまして。法務委員委員長に承認された志津隆史と申します。この魔界キタナラシノの大役を仰せつかり、その責任の重さを痛感いたしております。私の力をいかんなく発揮し魔界の平穏と平和を目指して行きたいと考えています。この魔界に栄光あれ…」

手を上げると…

魔族会皆様が

『魔界に栄光を…』を手を上げた。あれ…みんな、のりがいいみたい。

また、”ワアーー”とあふれんばかりの拍手が鳴る。


「隆史さん。すばらしいです。」

「たまたまだよ。」

「これだけ方たちに萎縮せず、正々堂々と発言されるなんて…」


ミサキは尊敬の眼差しで隆史を見つめている。

「ありがとう。本当にうれしいよ。」本当はむちゃくちゃ怖いです。

「では、ここから出ましょう。」

そうミサキは言って、隆史の手を握り議場を出る。まだ、拍手がおきている。


「それにしても、すごいね。あのノリ。」

「それほど、隆史さんに期待しているのではないでしょうか?」

手を少し強く握り、ミノリのいる部屋へと行く。

 オレはミノリの手の感力をかみしめながら歩く。生きてて良かった…。


 ミノリがいる部屋に着く。さっきの緊張はないが、気を引き締める。

ミサキが握った手を離し、隆史に

「準備はいいですか?」

一呼吸置き

「はい。」

ミサキがドアを開ける。


部屋にはノブト、ヤワタ、トキワが魔族の正装で待っていた。

ノブト、ヤワタもタキシードを着ていて、トキワは赤いドレスを着ていた。


「待ってたわよ。どう?」

トキワが隆史にドレスを見せつけながらクルッとした。

「トキワ嬢、似合ってるよ。」

本当に似合っている。スポーツ少女からお嬢様に変身したみたいだ。

「ふふ。ありがとう。」

まんざらでもない感じだ。

「シヅッチ、疲れたでしょう。ここでは少し気楽にしていいよ。」

ヤワタが笑顔で隆史に向ける。

「ありがとう。ヤワキン。」

「いよいよだね。昨日のことでボクはシヅッチを信じるよ。」

ヤワタががんばれと後押ししてくれる感じがする。オレはヤワタのこの言葉がうれしかった。

「なに?ヤワタ兄さん、隆史と昨日何かあったか教えてよ。」

「これは男の秘密だよ。ねえ、シヅッチ。」

「ははははは…」

オレは笑ってごまかす。


「そこまででいいだろう。これから認証式をとりおこなうぞ。あれ、ミサキは?」

ノブトは周りを見わたす。

「ついさっきまで一緒にいたんだけど…」

オレも一緒に見わたす。急にどこに行ったの?そこにトキワが

「あれ?言ってなかった?ミサキ姉さん。今、ドレスに着替えに行ってる。」


「ごめんなさい。お着替えに時間かかりました。」

ミサキが部屋に入る。ミサキのドレスはクリーム色でウエディグドレスに近い感じ感じだ。あと胸が強調されてます。こっちを見ちゃうだろ。


「似合いますか?」

「もちろん。とてもきれいだ。」

端から見ればこれから結婚式と思わせるほどだ。


「よし、始めるぞ。これから志津隆史の法務委員委員長の認証式をとりおこなう。」ノブトが号令をかける。

 ノブト、ミサキ、トキワ、ヤワタの順で立って、ミノリを待つ。そしてミノリが部屋に入る。ミノリは白の優雅なドレスでまばゆい。

「志津隆史。ミノリの前に。」ノブトが声を高くはなつ。

「はい。」オレはミノリの前にひざをつく。

「志津隆史さん。これからがんばってくださいね。」

隆史の首にメダルをかける。

「精一杯がんばるんで見といてください。」

「はい。期待してますよ。」


「これにて認証式を終わりにする。」

ノブトの号令で認証式が終わった。

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