第5話 いざ魔界へ(本章へ突入!)

「うっ…」オレは目を覚ます。まだうつろだ。なんか周りがいい匂いがする。右手を挙げようとする。柔らかい感触があたる。「ああ柔らかいなぁ~もうちょっと触っていたいなぁ~」柔らかいものを触る。

「あっ……」という声がした。気のせいだろう。左手も同様に挙げようとする。また柔らかい感触がした。

「いやん……」という声がした。あれ、おかしいぞ…両手に柔らかい感触が伝わる。これは気持ちいいです。はい…。もうちょっと触っておこう。触っているうちに段々目が覚めていく。やっと、目が覚めた。


 何じゃこりゃーー!!両脇に美女二人いるのではないですか!右側には、赤い長い髪で鼻筋がしっかりしていて、おまけに、ナイスバデーではないですか。左側には、赤い髪のショートでいかにもスポーツ少女をおもわせ、しかもナイスバデーではないですか!!

何この美女たち。絶世の美女ってこのことを言うのではないかと思うくらいだ。


 あっ、そうか、おれ死んだんだ。だからこの二人が見えるのか。死後の世界だな。ひょっとしたらオレを哀れんで、神様がプレゼントしてくれんだな。ありがとうー。神様ではなければ、宇宙人がオレに死後の世界に導いてくれて、美女に会わせたんだな。さっきはごめんよ。長野県の山中にどうぞおいで頂いて構いませんよ。よ~~し、この二人を触りまくるぞ。どうせ死んだんだ。やりたいことはやるぞ!!グヘヘヘ…


二人を触ろうとする志津隆史。そのとたん

「イヤーーー!!変態だ~!」

トキワが叫んだ。

「何事ですか?何をしようとするのですか!」

ミサキも警戒してみる。

「ここは、死後の世界だろ。何したっていいんだ!触らせろ!」

その時、トキワが蹴りをいれる。

「フベシ!!」

志津隆史は倒れ込む。

「ミサキ姉さん。大丈夫?」

「ええ。大丈夫よ。ところで志津隆史さんは…」

「私は、大丈夫ではありません。早く手当を所望致します。」


……………………………


「大変、申し訳ありませんでしたー!」

志津隆史は土下座をする。

「ここは、死後の世界で何でもしていいと思っていました。たびたび、お詫び申し上げます。」

志津隆史は猛省している。

「お顔をお上げください。もう、大丈夫ですから。」

ミサキは志津隆史の頬をなでる。

「神様だ…」

ミサキの周りがキラキラ光っているように見える。

「今度やったら殺すよ。」

トキワはにこやかに志津隆史の髪を上げる。

「悪魔だ…」

トキワの周りがどす黒いもやが見える。



「ところで、どうして、オレをさらったの?」

隆史は疑問に思い話し始めた。

「実は、話が長くなります。私たちは魔界キタナラシノから来ました王族のキ・タナラシノ=タカネ=ミサキと申します。隣の方は妹のトキワです。」

「いえ~い。」

トキワはピースをする。

「いえ~い。」

隆史も同じようにする。

「これから、隆史様には、魔界に行ってもらいたいのです。そして、魔界を救ってもらいたいのです。詳しい話は魔界でします。」

「はぁ…オレ強くないよ。どこかの魔道士みたいなレベル99でなく、チートな技も出せないよ。一応、お兄様と呼ばれる部類ではあるけど…」

「何言ってるかわからないよ!志津隆史!行くの?行かないの?行かないと言ったらわかってるだろうね。」トキワは脅しをかける。

「暴力反対であります。サー!!行かせて頂きます。サー!」

隆史は急いで、敬礼をする。

「ところで、魔界とやらはどのように行くの?」

隆史は不思議がる。

「はい、今のボートでもう30分したところに大きな扉があります。大きい扉の向こうに異空間があります。異空間の先が魔界となります。」

「そうなんだ。あと、家族にも連絡していい?」

「申し訳ありません。魔界に着いて、一段落したら出いいですか?」

ミサキは謝った表情で言った。

「えっ?魔界でも地球に電話つながるの?」

「それは、魔界に行ってのお楽しみです。」

にこやかにミサキが微笑んだ。

「ちょっといい?」

トキワが話を変える。

「志津隆史に問いたいのだけど、このあたりにガスマスク売ってるお店はない?」

「このあたりは売ってないけど、東京のミリタリーショップにはありそうだけど何で?」

「いいから!志津隆史がありそうな場所教えて。あと、簡単な地図も。」

トキワは少し焦ったようにも見える。それはしょうがないとも言える。志津隆史を誘拐していて、見つかったら大変なことになる。早く魔界に戻らないと自分たちの身が危ないからだ。

 そして隆史は、紙に簡単な地図を書く。 それを渡す。

「ありがとう。今から行ってくるね。」

トキワはミサキを見る。

「確かに、必要ですから急いで戻ってくるのですよ。決して寄り道はしないようにね。」

「わかってるよ。ミサキ姉さん。行ってきます。」

 トキワは目にもとまらぬ速さで走って行った。

「トキワさん。はえ~。っていうか何これ…もういないんだけど…」

オレはあっけにとられている。

「トキワは、魔界の中で武力二番目につよい方なのです。一番は私たちのお父様ですが。私から見るにもう一番かも…」

「へぇーそうなんだ。ところでなんでガスマスクなんて買うの?」

「実は…」

ミサキが言おうとしたところにトキワが戻ってきた。

「お待たせ!買ってきたよ。二つだけだった。」

トキワはすぐに戻ってきた。

「早すぎではないですか?10分も経ってないよ…」

マジでオレ驚く。

「えへへ。ざっとこんなもんよ!」

威勢良くトキワは胸を張る。

「トキワ。ガスマスクもう一個は?」

「買ってくるわけないじゃん。あれを味会わせるべきよ!って言うか二つしかなかった。」

「そうなの?私もきついし、トキワもやだよね…まだ詳しい異空間の話もしてないし…味わってもらいましょう!」トキワもやっぱり魔界の者だ。悪い心が見え隠れする。

「あれ、ミサキさんもなんかどす黒いモヤが見えるぞ…気のせいか…」

「気のせいですよ…うふふふふふ。」


 三人でボートを漕いでいくとテニスコートぐらいの小さい島に大きい扉が見える。日本にこんなところがあるんだ。地図には載ってないし、全体が暗い感じがする。コウモリとかいそう…よく見るといないんだけどね。そんな感じがする島だ。歩いて行くと大きい扉の前に立つ。扉はとても壮大で思わず「すごい…」と行ってしまう程の大きさだ。ミサキは扉の前で顔認証をする。魔界って顔認証システムがあるんだ。日本では一般に導入されるものが最近なのに…すげ~。そして、大きい扉がひらく。


「おおおー。」

オレはつい言ってしまう。

「この先に、異空間があるんだよ。」

トキワはなぜかニコニコしている。何かを期待しているようだ。

「では、行きましょう!」

歩いて10分ほどに異空間がみえた。異空間はワープするような、玉虫色した感じだ。

「いよいよです。」

ミサキが言ったところで二人はガスマスクをつける。

「えっ!?何してるの?オレには?」

オレ焦る。ガスマスクを取り付けた二人は目で合図して、ミサキ、トキワは隆史の腕ををつかむ。そして、異空間へ入っていった………。


 走る。走る。とにかく走る。多分、ミサキは足が遅いので、トキワはミサキにあわしているのであろう。それでも速いが異空間は臭い……とにかく臭い!え~~い!臭すぎる!

そのためにガスマスクを買ったのか。オレが思っていた異空間と違う。あまりのにおいのきつさに吐きそう…美女二人の前で吐くのは恥ずかしい。でも、我慢できない…ごめんなさい。オレ吐きます…


「オエ~~~~~~~~~~~~。」



「あー!吐いた~。私にかかった!ちょっとやめてよ!」

「ごめんなさい。オエ~~~~。」

さらにオレは吐く。

「あらあらあら…」

ミサキはニコニコしている。


 ようやく、魔界にたどり着く。はっきり言って長いです。こんなに吐いたのは久しぶりです。二人がガスマスクを取る。

「はあ。やっと着いた。これあってよかったね。」

トキワは深呼吸をする。

「隆史さん。大丈夫ですか?」

「なんとか…オレにガスマスクはなかったの?」

「だから本当になかったんだって!(本当はこれを味わったほしかったんだよ!)」

「ごめんなさい。しょうがなかったったんです。(うふふふ。異空間に行く人にはこれを味わってもらわないと)」

「そうなの?」

オレは疑問に思ったが、着いたからよしとした。(けど、なんか心の声が聞こえたような…)


 魔界全体はまだわからないがここは、魔界の海なのか。暗くて見えづらい。そして、魔界のボートに乗る。今度は手で漕がず、エンジンがついた小型ボートだ。

「さあ、乗りましょう。」

「やっと家に着くよ。早く帰ろ。」

トキワは早く帰りたそうだ。

魔界のボートに乗り、乗ること20分程、魔界の城が見えてきた。あれ、城はすごいが、完全にここ、日本に似てないか?港には築地市場みたいなところがあり、その先にはビルが見える。しかもでかい。

「どうですか?我が魔界キタナラシノは?」

ミサキが隆史を見る。

「日本そっくりな感じがしますね。違うところとかあるの?」

「ありますよ。町のはずれに行けば、隆史さんが思う感じはあるかと思います。」

「へえ~。」

「そろそろ、城の近くに着くわよ。降りる準備をして。」

トキワが言う。


 ボートから降りて、城に向かっていく。どうやら、裏道のようだ。人一人が歩けるくらいの細い道を歩く。歩いて行くと、城に着く。まじかで見る城はすごい。裏側の小さな入り口だと思われるが、それでもすごい。トキワがスマフォのようなものを取り出して、電話をする。これも、日本にあるスマフォと一緒だ。

「もしもし、私、空けてくれる?」

少しした後、ドアが開く。出迎えたのが、男性だ。

「お帰り。みんな、さあ入って。」

男の声が聞こえるよく見るとなんと…


イケメンではないですか!何この男、腐女子がいたらフォーーーというような逸材ですぞ!髪はロングでメガネかけてる。背も高く、全体的にシュッとしている。なんかむかつく。


「初めまして。志津隆史さん。私はキタナラシノ=タカネ=ノブト。この王族の長男です。よろしくお願いしますね。」

声までかっこいい。なんかむかつく。けど、初めてだし、一応ちゃんと挨拶しよう。

「はじめまして。ノブトさん。志津隆史と申します。」

お互い握手をする。

「志津隆史さん。少し背が小さいね。クス。」

イラッ。オレはこいつ殴りたい。なにクスって!腐女子が好きなやつこんな感じ多いよね。

オレは何も言わず、城に入る。城に入ると、そこは迷路だ。広すぎる。

「普段、私たちもこの城は使いません。広すぎて…」

ミサキがはにかむ。

「私たちは、ごく普通の一般家庭より少しでかい家に本来は住んでるんだよ。」

トキワが付け足す。

「今、ここに住んでいるのはある事情があるからなんだ。そこで、私たちの王にして父コウダンに会ってもらいたい。」

ノブト(メガネ)が言う。よし、これから心の中でメガネって呼ぼう。

「その前に、お母様、ヤワタにもあってもらわないといけませんね。ノブト兄様。」

「そうだね。ミサキ。とりあえず、客室に案内差し上げて。」

「隆史さん。こちらです。」

「はい。」

客室へ入る。客室は豪華スイートルームだ。装飾品だけですごい金額になりそうなものがたくさんある。

「お疲れになったでしょう。そこの椅子にお座りください。」

オレは椅子に座る。とてもふかふかしている。「ふう~」といってしまう。よほど疲れていると感じる。

「どうぞ。」

ミサキが紅茶らしきものをテーブルに置く。飲み物をオレは飲む。うまい!この芳醇とした香り。飲んだ瞬間、口いっぱいに香りが広がる。すぐに飲み干す。

「どうやら、おいしかったのですね。良かったです。」

「ミサキさん。これおいしいよ。初めて飲む味だがハマっちゃいますよ。」

「これは、地球の普通の紅茶ですよ。そんなに言って頂いてうれしいですわ。」

「ご謙遜を。本当においしかった。」

少しした後、ノブトが客室に入ってくる。邪魔だよ!メガネ!

「そろそろ、準備いい?」

「かしこまりました。隆史さん、行きましょう。」

「わかったよ…」

ついに、オレ、魔界の王に会うのか?どんな人だろう。怖いのはやだな…。客室から出て、コウダンのいる場所へ行こうとうする。これから、どんなことがあるのだろう。あっ!家族にも連絡したいな。母さん、さやか心配しているだろうな…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る