第30話 プロキシーファイト①

 私とヤワタは自宅に戻る。自宅に戻った途端、私は部屋に戻ります。

部屋に入り、私はベットにうつぶせになりながら目を閉じます。今日は何も出来なかった…どうしてこんな事になったんだろう?もっとよく出来た方法があったのではないか?考えたらきりがありません。部屋は暗いままで、誰の声も聞こえません。シーンとする部屋で私は泣きそうになります。


「どうして…」


この言葉が独り言で言ってしまいます。そんな時でした。


”バタン!!”


何事です!?私のベランダから大きな音が聞こえました。しかし、私は起き上がる気になれず、無視します。今は、何も考えたくないので…またです…


”ドンドンドン!!””ドンドンドン!!”


大きな音が聞こえます。


「もう…」


私は起き上がり、ベランダに向かいます。ここは2階ですよ…動物が入ったのでしょうか?そうしたら


「ミサキ!!開けてくれ!!トキワに殺される!!!」


「あっ!!」

私はビックリします。隆史さんが来てくれました。私はベランダの窓を開けて、

「どうしたのですか?」

「トキワに悪口言ったら、トキワに投げられて、ここに来ました…」

トキワは

「姉さん!!このバカ捕まえて!っもう、ありえない!」

「あり得ないのはそっちだよ!何だよ…トキワの好きな食べ物でオレがあり得ないと言った途端、投げるバカがどこにいるんだ!」

「ここにいます~」

「タガメが好きなんてあり得ないよ!ならそこら辺の昆虫でも食べてろよ!」

「隆史!!降りてらっしゃい…………コロスから」

ニコニコした表情のトキワ

「バ~カバ~カ…あっかんべえ~」

とても幼稚な隆史さん…私は

「もう…」


私は隆史さんを部屋に入れます。

「とりあえず、どうぞ。」

「あと、トキワ。」

「はい!姉さん。」

「じゃれ合いは大概にしなさいね。」

「はい…(姉さん、その顔怖いから…)」


部屋に入った隆史さんは

「助かった…ありがとう。ミサキ。」

「隆史さん!」

「なんでしょう…」

「貴方も、反省してくださいね。」

「……かしこまりました。」


       *          *          *


いや~疲れましたよ。トキワと一緒に魔界に戻って、雑談したトキワが食べ物の話して、タガメがおいしいって言うんですよ。ありえないっしょ!あの女は味覚ゼロだね。オレがあり得ないって言ったら、急に怒りだすし、さらに、トドメで味覚ゼロって言ったら投げられてこうなっちゃった。まあ、良いとしよう!なにせ、ミサキの部屋に入れたから…けど、ミサキはどこか寂しそうだな。オレは


「ミサキ、どうしたの?」

「いいえ。何でもありません。お茶どうですか?」

「今はいいや。本当にミサキどうしたの?」

あからさまにたどたどしい。無理して元気を出しているようだ。オレは

「ミサキ!正直に話したら。オレでよければ話し相手にもなるでしょ。」

オレは笑顔で言う。そうしたら

「隆史さん……ごめんなさい。」

そう言って、オレに抱きついた。

「えっ!?」

オレはひどく動揺している。女の子に抱きしめられるの人生初じゃね。

けど、ミサキは泣いている…声を大きく出さずただ、泣いている。

「………………。」

オレは何も言わずそのままだ。って言うか何も出来ね~よ!これじゃあ!!


しばらくしてから、


「ミサキ、どうしたの?」

「はい…実は…」

ミサキはこの経緯を話す。


オレは


「そうか~。そんなことがあったんだね。」

「はい…」

「ミサキ、悔しい?」

「はい。何も出来ず悔しいです。」

「その気持ちがあれば大丈夫だよ。」

「どうしてです?」

「誰だって、最初は何も出来ないよ。オレだってそうだよ。」

「けど、隆史さんは出来てました…」

「それは、勉強していたから。」

「私だって、勉強しました。」

「そうだね。勉強していると思うよ。けどね…勉強だけでは無理なものだってあるんだ。」

オレは

「それは、さっきミサキが経験したことだよ。」

「そうですか…」

「いいかい。こういう経験は滅多にない。しかし、法律関係の仕事に就くと、こういうことがたくさんあるんだ。これは経験がないとどうしても出来ない。」

「では、隆史さんはどうして出来たのですか?」

「それは、オレ、今でもそうだけど、オレも師匠に一緒について行ったりして、師匠の一挙手一投足全部見て、真似したり、自分ではこうした方がいいと思ったら、それにアレンジを加えたりする。こういうように経験が重要になってくるんだ。ミサキも初めてで戸惑ったことがあると思うんだけど、それは誰でも経験すること。それで、自分は無力、どうしたらもっと良いことが出来るのかと思えば、それが糧になって、自分の成長につながるんだ。だから、そんな悔やむことはない。けど、これからが重要だよ。」

「わかりました。日々精進します。」

「そうだよ!そのいき!がんばれ!」

「はい!!」


 オレはミサキを励ます。オレの時はそういう風に励ましてくれた人が村上先生だ。村上先生はオレに対して励ましてくれた。これがあってからこそオレもがんばれた。今度はオレが励ます番だ。

 法律を勉強するとどうしても、やる気が失せるときが必ずある。

 さらには、膨大な量を勉強しなければならない。しかも、覚えていなければならない。どうしても無理が出てくる。そういうときは、一緒に切磋琢磨してくれる人、励ましてくれる人がどうしても必要だとオレは思う。オレは、これからミサキを励まそう。


「ところで、会社関係だったけど…会社が乗っ取られると考えて良いの?」

「はい。取締役、代表取締役が解任する予定で確実みたいです。」

「本当に?(どうして確実なの?)」

「…はい。」

「オレは、そうは思わないな。」

ミサキが驚く。

「どうしてですか?」

「ミサキ。会社は誰のもの?」

「社長のものですか?」

「いいや。違う。当然、従業員のものでもない。」

「では、誰のものですか?」

「株主のものだ!」

「株主ですか?」

「そう。当然、社長も株を持っているから、社長のものでもあるが、社長の他にも、株主はいるはずだ。会社法に、会社は株主のものと定められている。オレは、魔界の会社法は詳しく読んでいないが、日本の法律を基本としている以上、この考えは間違いない。」

「では、株主はどういう方なのですか?」

「株主は役員の決定や重要事項の決定などの権限を持っているんだ。と言うことは株主構成を見る必要がある。誰が何株持っているか…」

「では、株主が重要になってくるのですか?」

「そうだよ。いかに株主たちを言いくるめることが重要だ。」

「そうですか。」

オレは一呼吸おいて

「これから、プロキシーファイトがはじまるな。」

ミサキは

「プロキシーファイトとはなんですか?」

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