第22話 一件落着そして日本へ

ノブトは何も答えない。コウダンが

「ノブト…どうしてあんな事をした。お前はこんな事をするような者ではないではないか…」

どこか寂しそうなコウダン。

「ノブト兄様、私も、貴方がこんな事をするような方ではないと思ってます。何か理由でもあったのですか?」

ミサキがコウダンに続きノブトの理由を聞きたいみたいだ。

「ノブト……。」

ミノリは自分の息子の名前を言うだけだけで、心配そうに見つめている。

オレはヤワタに

「ノブトさんはオレは詳しくはわからないけど、どういう方なの?」

「ノブト兄さんは、なんだかんだで良い御方なんだ。トキワにも優しいし、父上、母上に対してもちゃんと敬うし、ミサキには勉強を教えてたりしてたなぁ。」

あれ?俺が思っている印象と違うのですけど…


ノブトはまだ、うなだれたままだ。オレは

「ノブトさん、何も言わないと解決はしません。あんな事をした理由は絶対あるはずです。理由なくやる事って絶対無いのです。」


「………わかった。お話ししよう…」


ノブトは語り出した。

「父上の状態がかんばしくないと知った時は、間違いなくこの魔界は混乱すると思った。この混乱を止めるには、絶対的な支配が必要と私は考えた。父上みたいには私はできない。もしやったとしても、どこかで糸が必ずほどける。糸をぼどかせないためには、魔界のみんなが屈服するような支配で当面は行っていこうと考えた。こういう支配をする以上は、魔界自体危ない。私は考えは母上、ミサキ、ヤワタ、トキワをこの世界から出て行ってもらうしかない。だから、私はあんなことを言った。言わざるを得なかった。出て行けば家族の身はまず安心される。私が盾になればいいと考えたんだ。私が魔王になった場合、絶対的支配する以上、暗殺もあり得ると思い私だけ死ねばそれで家族が生き残ればそれで良いとも思った。」

「そんなことを思っていたんですか…」

あれ?俺の思っているノブト像が変わっていく…”このクソメガネ!”って言えない…

ミサキは

「やはり、ノブトお兄様です。私たちを守るために…」

「ノブト兄さん…」

「ノブト兄様、何もそこまでやらなくても…」


ノブトは家族を守るために、あんな芝居をした。自分を犠牲にすれば良いと考えた。オレはなんか違うと思う。自己犠牲だけでみんなが幸せになれるのか?

「ノブトさん、貴方の言い分わかりました。しかし、それでは貴方が幸せになれない。そもそも、法律って何のためにあるのか?確かに罰するものあるが、基本はみんなが幸せになる手段としてあるんです。これから貴方は要職に必ず就くはずでしょう。その前に、魔界の経済、法律そしてみんなの幸せについて考えてみたらいかがでしょうか?」

ノブトはオレを見て

「……………………ああ。」


魔族会は沈黙が続いている。沈黙の中、議会は終わった…



         ◇      ◇     ◇


ことが一件落着したところでオチ(どこかの●物語みたいだね)


 ノブトは魔界を混乱させた。本来なら、魔界から追放ものだが、理由が理由なだけに、コウダン、他の魔族の長たちの計らいで、「留学」することになった。場所はオレは聞いてない。いろんな国、いろんな世界を見るのも良い勉強になるはずだ。良いところを盗んで、この魔界に持ってきてもらいたいものだ。

 魔王一家もノブト以外は何事もないかのように生活をしている。しかし、やはりノブトがいなくなるのはどこか寂しいみたいだ。オレにはそんなそぶりを見せなかったのが痛々しい。そんなオレ、一端、日本へ帰ります。母さん、妹が心配しているはずだ。


「隆史君。ありがとう。また、この魔界をよろしくな。」

「はい。一端、日本へ帰ります。家族が心配している故。」

「隆史さん。ありがとうね。これ、魔界と日本がつながる携帯渡しておくね。」

ミノリがオレに携帯を渡す。

「ありがとうございます。いつでも連絡ください。」

「シヅッチ、また今度遊ぼう!今度はオレが日本へ行くよ。」

「わかった。楽しみにしてるよ。」

「たかし、ありがとう。すぐに、む・か・え・に行くからね。」

トキワなんか怖い…

「うん。待ってる。」

「隆史さん。本当にありがとうございました。」

ミサキがオレの手を握る。

「いいえ。あっ、そうだ。一端、法務委員会はミサキが代行しておいて。すぐに、戻るからさ。」

ミサキは笑顔で

「はい。わかりました。待ってます!!」


コウダンが

「あと、隆史君。これを持っていきたまえ。」

オレにお金を渡す。約3万円程だ。

「いいえ。大丈夫です。」

「確か、千葉に住んでるんだよね。じゃあ持つべきだ。」

俺の手にお金を握りしめさせる。

「ありがとうございます。で、あの臭い道で行くんですよね。」

「いいや、別の道がある。そこは臭くないし、何もない。」

オレは急ぎ気味で

「じゃあ、そこで!!」

あんな臭い道、通ってたまるか!!


魔王一家とオレとで談笑しながらその道へいく。

そして、

「この道を先に行ったところが日本だ。」

「はい。」

オレはみんなに

「一端、帰ります。行ってきます!!!」

魔王一家が

『行ってらっしゃい!』と…


オレは日本へ通じる道を歩く。本当に臭くない。うん!臭くない!!

オレはなんか嬉しがっている。そんな時だ。ついに外に出る。


オレは


「着いたーーーーー!!!」


と叫ぶ。ん!?ここどこ?山の中だけど…


オレはスマフォのGPS機能をつかい、位置確認する。なんと…………



長野県の山中でした…


「オレが宇宙人かよ~~~~~~~~~~!!!」





                            相続の章 終

                            差押・日本編へ続く

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