第二部 襲いくる赤
プロローグ
目の前には
自身の攻撃が一切通用しないのでは、この状況はなにも、変わらなくて……
「…………」
彼は
殺そうにも殺せない。
続けたところで、ジリ
助けを求めようにも、誰もいない。
いまこの場には、自分と絶望しか、いなくて……
「…………」
そこまで考えて、彼は顔をしかめた。
最初は四人いた。
ここに来たときには、四人もいた。
だが、あいつは死んだ。
なら、あいつらはどうだろうか?
ならば、可能性はある。
まだ来ていないのならば、戦闘中ということか、あるいは、もう……
「…………」
心の中で、舌打ちを一つ。
他人にすがるなど、わずかな確率にかけるなど、自分はどこまで弱っているのか。
彼女との大事な約束は、二つ。
一つは、一人だけでアレを使わないこと。
そしてもう一つは――
「…………」
ならば、自分がやるべきことは、決まっている。
すべきことは、決まっている。
だから彼は、目の前の絶望をしっかりと
あっけなく、呑み込まれた。
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