第1話 攻略勝負
「
戦場に
辺りで巻き起こる風圧に
強い意思を感じさせる、キリッとした
まさしく美を
そこは深い緑色をした、
体長三メートルほどの、巨大な鳥。
その魔物が十数羽、宙を我が物顔で飛び回っていた。
エリスは目の前の相手を
強風のなかでも
「ヒョオオオ!!」
フロウバードが、その動きを変えた。
辺りを飛び回っていたフロウバードは
風を切る音がする。
そんな、すさまじい速度での突進。
それはその数と巨体も
そんな絶望的な一撃が、
――巨大な
それはまるで
それを確認して、エリスが言う。
「
その声に
そして、魔法陣が消えた。
それを合図として
一体、二体、三体――
フロウバードは
そしてその数が十を超えたかというとき、
『ヒィヨォオオオオオ!!!!』
けたたましい声が響き渡った。
それは
その声の
その姿はどこか
だから、
「ボスが動き出しましたわ!
ここからは、下手に攻め込むべきではない。
エリスはそう判断し、言う。
その指示に従い、
そして、
「《
その背後から、声が聞こえた。
それに気づき、エリスは勢いよく振り返る――ということはしない。
なぜなら、わかっているからだ。
その言葉が聞こえたときにはすでに、そいつはその場にはいないということを。
だから、
「《アストラル・レイン》!」
エリスはそう
すると、エリスの周囲に数十の
エリスはそれを前方へ
それはさながら
「チッ……!」
そいつは小さく舌打ちをすると、
「パン!」
「わかってるよ。《伸びろ》」
漆黒は勢いよく天井に突き
――直後、流星が
その
そしてエリスに振り向き、
「アホかお前は! こっち当たったらどないすんねん!」
そう
一部では学内最強とも
ケインは
対しエリスは、なにを言っているのかとでも言いたげに肩をすくめた。
「あら、いたんですの? そのまま巻き込まれてしまえばよかったのに」
「ああん? なんやずいぶんと
「焦る? なぜわたくしが、
「はっ。そりゃ、こういうことやろがい。《
ドンッ! と、力強く地面を
するとエリスたちの周囲から、数十本もの
それはまるで
それは登ろうにも強烈な電流が流れており、それ以前になにか動きをみせようものなら新たな石柱が飛びだし、それを
それはもう、完璧なまでの足止めだった。
ケインはニヤニヤといやらしく笑い、エリスたちを
「アイツ等がボス
それに、
「……なるほど。この程度で、わたくしを焦らせることができると」
にやりと、エリスが口の
だが、フロウバードはすでに、ボスを残すのみとなっていて……
「んじゃ、ラストさくっといこうか」
そう言ったのは、漆黒の男。
黒い髪に、黒い瞳。
やる気のまったく感じられないへらへらとした顔を浮かべた男――タクト=カミシロ。
「なに言ってんだぜ。ボスはオレがやる。テメェはすっこんどくんだぜ」
と、少年が口を
それは緑の髪に、銀の瞳。
タクトたちと同い年とは思えないほど小さく、女と言われれば信じてしまうようなとても
「なんだっていいけど、ちゃんと倒してね」
そう言ってきたのは、小さな少女。
赤い髪に緑の瞳。
どことなくテルンに似た顔立ちをし、テルンの姉を自称する小さな少女――パン=インバート。
パンは自分の役割は終わったとばかりに頭の後ろで手を組み、
テルンは睨むようにタクトを
――目の前に、巨大な壁が現れた。
タクトは
突如現れた壁に
「……
眉をひそめながら、そう判断した。
その氷の壁は
このままではボスを倒せない。
ケインだっていつまでも足止めできるわけではないだろう。
だからタクトは、氷を見据え、
「それが魔法である
わらった。
「《
引き金を引いた。
氷の壁が、消えた。
それは一瞬にして、すべて
そして、
「《
もう一度、今度はボスめがけて引き金を引いた。
それは
――空から、氷の
それは酷く巨大で、ゆうに二十メートルほどはあるだろう。
銃弾は氷の塊に
撃たれた氷の塊はその
「うっわ、なにあれ。ふざけすぎでしょ」
そんな思いもよらぬ出来事に
だが、その
「はっ。これだから新入りは」
そう言ってテルンが飛びだした。
降り注ぐ
テルンはそのまま前後左右、
『ヒィヨォオオオオオ!!!!』
それと同時に、ボスが勢いよく左、右と、翼を振るった。
すると、その翼から
それはすさまじい速度と質量を持って、テルンに迫る。
それにテルンは、
「
はっ、と軽くわらった。
「【ハルゼクス
叫んだ。
すると、テルンの手元が
テルンは戦斧を左手に持つと、氷の豪雨を素早く避けながら、飛んでくる羽根へと視線を向ける。
そして、戦斧を両手に持ち直し構えると、ぐるぐると、まるで
そのすべてをさばききった頃には、雨もすっかりやんでいた。
だから、テルンは壁めがけて一直線に走りだし、そのまま一気に駆け上がる。
その速度は加速したタクトほどではないが中々に速く、あっという間にボスの高さまで数メートルというところまできている。
そこで、
『ヒィヨォオオオオオ!!!!』
ボスが、動いた。
口からなにかを
いまこの場面で使うということは、なにかしらの
それこそ、ボスの持つ中で、一番強力な技なのかもしれない。
淡い緑の液体は、一直線にテルンへと迫り、
――漆黒に叩き
「
「別に
巨大な
ボスの巻き起こす
テルンは勢いそのまま、ボスめがけてハルバードを振り上げ、
「ッ!? マジかよ……!」
目を、
なぜなら、ボスの周囲……いや、辺り
その光景の意味を理解しているのか、テルンは酷く
そして、
「【ハルゼクス
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