第2話 二人の隊長
テルンが
それは次々と、さながら
そんな巨大な爆発の
「ったく、クソが。相変わらず
「テルン大丈夫?」
「大丈夫だぜ、こんくらい」
そう言いながらも、爆発に巻き込まれた
「ちゃんと治してもらいなよ?」
「わかってるぜ」
「……いまのは?」
「あ? あー……アイツの魔法だぜ」
タクトの問いにテルンは一瞬
そちらに目を向けると、一人の少女がいた。
桜色の長い髪に、どこか
手足はすらりと長く、口には白い
そんな、酷く
「ちなみに、氷の方はあっちだよ」
そう言ってパンが指し示したのは、空色のショートヘアーに、感情がみえない金色の瞳。
そんな、酷く冷たい印象を受ける少女だった。
そんな二人の少女をみたタクトは、
(……
スッと、視線を
それは、
混属性というのは、二つ以上の属性が混じった色のことだ。
髪と瞳が同じ色をする
だが、ここは自身の持つ中で最も強い属性が髪色に、二番目に強い属性が瞳の色に現れる世界。
それが色に、それも髪色に現れているとなれば、その意味合いは大きく変わる。
(あれがたぶん、エリス派の隊長だよな)
タクトは
『――ボスの
その後担任である
「……おい」
桜髪の少女が、近づいてきた。
タクトはそちらに目を向け、
「俺になんか用?」
「……この前、クレープのこと助けてくれたんだって?」
クレープ、というのは、タクトのクラスメイトである少女のことだ。
タクトがこの学園に
だがそれは、結果そうなっただけ。
タクトにとっては、
タクトは彼女を助けようと思って助けたわけじゃないし、なんなら
だからタクトは
「たまたまそういう流れになっただけだよ」
「だろうね。あんた、そういうタイプに見えないし」
少女は鼻で笑って言うと、ボリボリと後頭部を
「……でもまぁ、一応
どこか
だからタクトは面倒そうにため息を吐き、別にお礼を言われる
「ただ、あたしはあんたを認めたわけじゃない」
その前に、少女が言葉を
少女はタクトを
「それと、クレープに手ぇだしたら、ぶっ殺すから」
それにタクトは、
「さいですか」
と、
少女は鼻を鳴らすと、
それは
「ああ言ってますけど、ほんとに
と、すぐ近くから声が聞こえた。
「ん?」
声の方へ振り向けば、空髪の少女が立っていた。
それも、
「あ、申し遅れました。私はパトリシア=ホームズ。あの子はリンダ=ロバーツと言います」
なんて、さっきの印象とはほど遠い、優しげな
だからタクトは、少し
「あっと……俺はタクト=カミシロです」
「もちろん
「あら、こんな
「ええ、
「だろうね。あの
クレープの色は、
すなわち、
属性としては大して珍しくもないが、組み合わせとしては非常に珍しい。
だからタクトはへらへらと笑いながらそう言い、パトリシアもそれにうなずいた。
「そうなんです。それにあの子
パトリシアは頬に手を当てながら嘆息して言うと、
「だから、助けていただいたのは本当に感謝していますし、あなたの存在も
にっこりと、笑った。
「俺の存在?」
首をかしげるタクトに、少女は満面の笑顔でうなずき、
「ええ。あなたのように目立つ方がいれば、その分クレープちゃんから
「……へぇ、ずいぶんと友達思いだね」
「でしょう? もちろん私もリンダと同じ考えですから、その辺はよく考えてくださいね? カミシロさん」
タクトはその背中を、口元をわずかに
「ったく、今回も持ってかれたな」
と、ケインが話しかけてきた。
タクトは視線をそちらに移す。
そこには、タクトの仲間が
だから、
「まぁ、こっちは四人しかいないしね」
タクトはそう言って、肩をすくめた。
およそ
しかし、ケイン派にはリーダーのケインを始め、テルン、パン、そして新たに加入したタクトを含めても、わずか四人だけしかいなかった。
それはケインの
そしてそれは、確かな実力を持っていた。
実際にタクトが入る以前、わずか三人のときから、学園の最大勢力――エリス派と並ぶと
ぼへ~っと、なにを考えてるのかまるで読めない顔をしているタクトに、ケインはため息混じりに応じる。
「そらまぁそうやけど……パティはともかく、せめてリンダのアホがおらんかったら、今回は勝てとったで」
リンダは基本、授業や攻略演習をサボってどこかに行っている。
パトリシアにしたって、演習が低難度のときは図書室にこもり、本を読みふけっている。
今回のようにエリス派の隊長が揃うことは、かなり珍しいのだ。
「それはまぁ、運が悪かったってことで、次を考えようよ」
相変わらず
パンは頭の後ろで手を組みながら、ちらりとテルンを見やり、
「でも、このままじゃテルン“が”危ないよね」
「……なんか引っかかる言い方だぜ」
「気のせいじゃない?」
ジトッとした目を向けるテルンに、パンは気に
それに、
「ん? 危ないって、なんかあんの? その
と、タクトが不思議そうに首をかしげた。
それにケインがなんともいえない顔で嘆息し、
「ちゃうねん。危ないっちゅーんは、このまま演習で点取れんかったら、
「テルン頭悪いから、
「……ったく、なんでテストなんてもんがあんだぜ。強けりゃそれでいいだろうに」
「…………え? テスト?」
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