第35話 死神
『……………………は?』
予想外の言葉に、男たちは全員、
「だからさぁ、俺に向かって、全力で魔法撃ってって言ってるんだよ」
その反応をうまく聞き取れなかったのだと
「それなら、あたしがやろうか?」
後ろから、声をかけられた。
「ん?」
タクトはゆっくりと、そちらを振り向き、
「…………え? 君、なんで、ここに……?」
なぜなら、そこに、いたのは……
「ん?」
自称学内で
命に関わる
ココアは一瞬きょとんとすると、にこやかに笑って、言う。
「まぁ、そんなことはいいじゃない。それより――」
そしてちらりと、大樹に目をやり、
「早くしないと、また動き始めるよ? あれ」
見れば、切り
タクトはそれに、なんとも言えない顔を浮かべ、
「それはまぁ、そうなんだけどさぁ……」
と、大樹の復活以上に気になることがあるからか、
「ならちゃちゃっとやろうよ。あ、あたしが代わりにってのは、あの人たちは結構
なんて、ココアは相変わらずにこやかに笑って、
「……テメェ、いつからここにいた?」
リヤルゴが、低い
その
目つきも
それは
「ん~?」
ココアは考えるように上を向き、
「あっ!」
答えが見つかったのか、パッと花が開くように笑顔になり、
「ひ・み・つ☆」
「んだとぉ?」
リヤルゴの
「恐らく、初めからですわよ」
なだめるためか、即座にエリスが言う。
しかし、その表情は
リヤルゴは一つ舌打ちをすると、ココアを苛立たしげに
「ああ、そりゃそうだろうなぁ。あの
「あはは。やっぱ気づいてた?」
「たりめぇだ! いたんだったら
「無理だよ」
ココアは、
「…………」
リヤルゴは一度、口を閉ざす。
ココアは笑顔を消して、真面目な顔で、言う。
「あたしはパワータイプじゃない。もしアレをフルで撃ったとしても、君らの全力魔法と同等か、それ以下だよ」
「なら――」
「仮に君らと攻撃を
「んなもんやってみなけりゃ――」
「わかるよ。だって君ら……」
ココアはスッと、視線を鋭くして、
「本気で攻略する気、ないでしょ?」
それは、
「それに、死人だけは出ないように、こっそり援護してたしね」
「…………」
「だから、エリスならともかく、君らにどうこう言われる筋合いは、ないよ」
ココアはそう、つまらなそうに、言って……
それに、リヤルゴは、
「……お前、どこまで知ってる?」
どこか、
それはまるで、ココアの
だからココアは、
「どこから、の間違いじゃない?」
そう言って、肩をすくめた。
「…………」
リヤルゴは、なにも答えない。
ココアは気持ちを切り替えるかのように
「だから、待ってたんだよ。ソロ最高攻略難度、四十二の、君をね」
そう言って、軽く笑った。
それに、タクトは、
「……もういい? 早くしないと、さすがにヤバいよ?」
タクトの言葉通り、大樹はすでに、
完全に回復するまで、もう
だからココアは、いままでの会話をすべて無視されたココアは、
「あはは。いいね、その感じ。あたしは好きだよ?」
「なんでもいいから――」
「わかってるよ。炎を全力でぶち込めばいいんでしょ?」
ひらひらと手を振って
「んじゃ、いくよ?」
「いつでもどうぞ」
タクトの言葉に、ココアは一つ、大きく息を吸って、
「《
ココアの左の手のひらに、
それはぐんぐんと、見る間に大きくなっていき、
「行け」
ココアの声に応じ、直径三メートルほどの、巨大な火炎が撃ちだされた。
それはさながら炎の
タクトはそれを、しっかりと
「【アルガント】」
ズガンッ! と、銃声が響いた。
すると、火柱は消え失せ、
「【オルジェイル】」
すると、タクトの右手が閃き、その手に
タクトはそれを、
――引き金を、引いた。
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