第27話 疫病神
エリスとリヤルゴがボス部屋で争っている頃。
「さて、そろそろ五分といったところか?」
ゆっくりと、アレックスが立ち上がった。
それにクレープは
「残念ながら、まだ出れませんよ」
「ほう? 五分というのは、
「いえ、嘘ではないです」
クレープは、ただ、と続け、
「もしもあなたが、脱出を
それにアレックスは、
「……く……くくくッ……! ははははははは!!!! やはりお前はそうでなくてはな!!
五分。
それはアレックスが加勢に行けるであろう、ギリギリの時間。
だからこそ、無駄な体力と魔力を
だが、それすらも
アレックスは
「いやしかし、だからこそ
「……わたしの友達を、馬鹿にしないでください」
クレープの視線が
アレックスは構わず、愉快そうに笑う。
「友達。そう、友達だ! 共に攻略を目指す仲間ではなく、ただのお遊び! お前らのやっていることは、自己中心的なリーダーによる、単なる人形遊びにすぎないッ!!」
「あなたは……ッ!」
「俺に意識を向けている場合か?」
「っ!?」
気づけば、囲まれていた。
広間の一帯に、魔物が集まっていた。
クレープはそれに気づくと、顔をしかめてアレックスに背を向け、
アレックスは
「ここに来るまで
「くっ……!」
目の前に広がる絶望的な光景に、クレープは苦々しげに顔を
アレックスは
「この結界を
「必要ありません! わたしだって……わたしだって、やればできるんですからぁッ!!」
クレープの
(……入ったな)
アレックスは目を細めて、その
「《ダーク・ワンダー》!!」
クレープが、
そして、
「…………む? なにも、起きない?」
「そ、そんな……!」
部屋に、
「……いや、なんだ、あれは?」
「え?」
アレックスの視線の先、そこには、直径十センチほどの、
それはふよふよと、
それはゆっくり、ふわふわと、地面に落下してきていて……
「なんですか、あれ……わたし、あんな魔法、使ってな――」
「おい疫病神! いますぐこの結界を解け!」
「え? そんなことしたらあなたが――」
「うるさい早くしろ!! 死にたいのか!?」
「え? え!?」
「あれからはとんでもない魔力を感じる! 早く
「だからわたしはあなたの元には――」
「だっから
アレックスはめんどくさそうに吐き捨て、
「《セカンド・ステップ》!!」
瞬間、アレックスの全身が金色に
そのまま大剣を振りかざし、
「
それはさながら
アレックスは即座に結界から脱け出し……
だが、すでに灰色の球体は、すぐそこまで
「《サード・ステップ》!!!」
アレックスが、叫んだ。
その姿は、神々しいまでの黄金色に輝き、
「
「はわわわわわ!?」
アレックスは一瞬の内にクレープに駆け寄り、
「【ゼロデュアル】!!!!」
その叫びは、球体の爆発に、かき消された。
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