第5話 決闘
ここは、校内の
コロシアムを思わせる、半径五十メートルほどのフィールド。
そのまわりには、
屋根はどうやら
いまは気持ちのいい青空が見える。
そんな施設の中心に、男が立った。
短く
全身にはち切れんばかりの筋肉を
リヤルゴだ。
そいつがぐるりと
「さて、ぶっ
「いいわけないだろ? そんな準備、誰が
「はっ。ここまで大人しくついて来といて、よくもまぁんなこと言えたもんだなぁ」
「ついて来なければ、あのまま
エリスが
「まぁな」
それをリヤルゴは、ニヤリと笑って
「さて、俺はこれから、このくそ生意気な後輩に
リヤルゴはちらりと、エリスを見る。
「わたくしの目の前で、そんなことができるとでも?」
「はっはぁ。まぁ、そうなるよなぁ。でも……あれ、な~んだ?」
そう言ってリヤルゴは、自分の背後を見る。
エリスたちもそちらに視線を向け、
「…………ッ!?」
そこにはいたのは、
それを見たエリスは、一瞬目を見開き、
「校内一の勢力が、
そう、エリス派は校内一の大勢力。
つまり、ほとんどのクラスに存在しているということ。
さらには、リヤルゴの
それはつまり、アレックス派とエリス派の
「
エリスが
それにリヤルゴは、いやらしく笑う。
「卑怯? なにを言ってやがる。相手の弱点を
「くっ……!」
エリスはリヤルゴを
が、リヤルゴはそれをまるで意に
「ってことで、これでエリスは手出しできねぇわけだが……どうする? お前を仲間にする気はもうねぇが、こいつの仲間にならねぇってなら、今回は
ニヤニヤといやらしく笑うリヤルゴ。
それにタクトは、
「なんで? 別に逃げる必要なんてないでしょ?」
と言った。
肩をすくめ、平然とそう言った。
それにリヤルゴは
「へぇ、ずいぶんと余裕じゃねぇか」
「まぁね、このまま俺とやり合えば――」
そこまで言ったタクトは
「君は必ず、後悔することになるよ?」
スッと、目つきが変わった。
だが、それも一瞬。
タクトはすぐに、やる気の感じられない、普段の表情に戻った。
しかし、さっきの言葉は
タクトに
一瞬ではあったが、タクトのそれを目の当たりにしたリヤルゴは、
「くっ……ははッ……! おもしれぇ!」
思わず、笑いだしていた。
それは、
だからリヤルゴは、
「なら、後悔させてみろよ。
この興奮が冷めないように、思い切り駆け出した。
「うわぁ~お、いきなり? なんか始める合図とかないの?」
「実戦なんて、そんなもんだろ?」
「まぁ、そうか」
タクトは高速で
(はっ!
そんなことができるということは、やはり、タクトの実力は相当なもの。
それはもしかしたら、あの人以上なのかもしれない。
だからリヤルゴは、
(こいつぁ久しぶりに、面白い勝負ができそうじゃねぇか!)
(さぁ、
その感情に
「…………」
――それが、後悔に
◆◆◆
走る。
走る。
走る。
その最中に見つけた生徒を
だから走る。
全力で。
一直線に。
(あの馬鹿……なんでいきなり、
しかも、相手はナンバーツーの勢力。
その、特攻者部隊の隊長、リヤルゴ。
これはもう、本当に馬鹿としか思えない。
(……アイツは確か、難度三十二を攻略したっちゅーたか?)
難度だけで判断すれば、エリスのが上だ。
だが……
(エリスとじゃ、相性最悪やな……!)
それは、一対一の、それも攻略勝負だった場合の話。
リヤルゴは勝利のためなら手段を選ばない奴だ。
自分の実力を、よく理解している奴だ。
そして、そういう奴は強い。
特に、エリスのような、足手まといすらも
「…………」
彼は思わず
「ワイが行くまで、始まっとらんでくれよ……!」
彼はそう
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