第13話 NPCの村 リターンズ


 「さっ、この先の洞窟だって。まずはお姫様を救いに行かないとね。って、なんで、また、コッテ村に戻ってるのかなー。ビカム君、こらこら、勝手に家の中を荒らさないでくれるかなー」


 「犬耳娘探さないと!」


 「だ・か・らー。それはいない、いません。そういう人は、見たこともないからね。残念だねー。いくら探してもダメだからね」


 「でも、お約束が……」


 「誰との約束? 何の約束? 何なのかなー。って、もしかして、読者のことを気にしてるの? NPCの村なら家の中の箪笥とか開けなきゃ。とか、そんなことビカム君が考えるわけないよねー。って、気にせずに、箪笥を開けてるし」


 「がさごそ。がさごそ」


 「こらこら、ダメ、ダメだよ。それは、ただの空き巣だから、泥棒だから、山賊だから。まあ、シチュー食べたのもそうだけどね。って、何か見つけたの?」


 「ピーーーーー」


 「なに、なに、なに、ピーとかって角笛吹いているのかなー? もうビカム君、いろいろと勝手にやらないでくれないかなー。神様にも心の準備が必要なのに、って、うわっ! なに、なに、なにか来たよ。怖いの来たよ」


 「我ら、悪魔三銃士を呼んだのは、お前か!」


 「なんか、とんでもないの来ちゃったよ。角とか牙とか、どこから見ても正義の味方に見えないの呼んじゃったよ。どーすんのビカム君。責任とってね。神様は知らないからね。こんなの知らないよ」


 「ピーーーーー、ピーーーーー」


 「悪魔三銃士とかっての無視して、まだ笛吹いているよ。悪魔たち、怒ってるねー。眉間に青筋立ててるし……、怖いねー。どうしよう。もう神様、知ーらないっと。机の下に隠れているよ。ガクブルだよ」


 「おい、こらっ! ふざけるな!」


 「ウザッ! ピーーーーー、ピーーーーー」


 「まだ、吹いてるよ。ウザッとかいいながら無視しているよ。凄いね、ビカム君、本物の勇者か、本物のバカだね」


 「このヤロウ。いい度胸だ! やってやろうじゃ……」


 「ピィン! ピーーーーー」


 「あれれれれれっ。なに、なに、悪魔三銃士の粋がってたやつ、デコピンされて、屋根突き破って飛んでいっちゃったよ。きりもみして空の彼方へ行ったねー。なんか凄い光景だね。それでも笛吹いてるビカム君も凄いし……」


 「あーーーぁ、残念。うわっ! 何、こいつら?」


 「なんか残念とか言って、ようやく笛吹くのやめて、現実見て、驚いているよ。なんか怖がっているよ。でも、悪魔三銃士のふたりもガクブルだし……。なに、なに、これは、どう収拾つけんの?」


 「あんたたち、誰ですか?」


 「お、ま…………、あなた様こそ、何者です?」


 「なんか、ビカム君も悪魔たちも、どっちもビビりながら会話してるよ。しばらく様子を見てみようね。これは、おもしろそうだしさ」


 「僕、ビカム・ノベリスト……」


 「しがない悪魔やってます……」


 「……………………」


 「じゃ、ま、そういうことで。ハハハハハハハハ」


 「じゃ、ま、そういうことで。さようならー。笛吹かないでね」


 「あれれれ、悪魔たち笛吹かないでとか言って、ピューーって逃げちゃったねー。ビカム君も顔を引き攣らせてたんだけど……。まあ、よかったね。結果オーライだね。一時はどうなることかと思ったけど」


 「ぐぅー、ぐぅー、ぐぅー」


 「熟睡したねー。って、これは気絶してるのかなー? まあ、とにかく起こさないとね。ビカム君、起きて、朝だよー。本当は朝じゃないけど、悪魔たちは逃げちゃったよー」


 「うわっ! 悪魔だ」


 「違うよ、神様、神様だよーん。って、懐かしいね。……それで、神様に向かって悪魔とか言うのはとっても失礼だからね。悪魔たちは逃げちゃったよ。まあ、君が勝手に呼んだんだけどねっ!」


 「僕、出前、頼んでないよ」


 「そうだねー。出前は頼んでない。うんうん。そりゃ出前は頼んでないわ。でもその笛吹いたでしょ。それで来ちゃったんだなー。ねっ、ねっ、ねっ。ビカム君のせいでしょ!」


 「えーーー。僕、笛吹いて、お姫様呼んでたのに」


 「なし、なし、なし。あのさー、そんなご都合主義、利かないから。ダメだから。さすがにそれでお姫様が来るのはなしだから。それにお姫様は地下牢から出られないからさ。笛の音が聞こえても来られないからね」


 「ちぇっ。失敗かぁー」


 「なーに、舌打ちしてるのかなー。まーた、無茶苦茶してくれたよねー。ほんと、もうね、神様じゃなくて、君が悪魔だよ。ぐうたら悪魔にしようか? このタイトル」


 「へーー。そう、いいんじゃない」


 「どうでもいいみたいな態度だねー。まあ、そうだね。そう言うよね。興味ないもんね。もういいよ。お姫様が囚われている洞窟に行くからね。ほら、行くよ!」

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