第14話 ダンジョン攻略

 「さ、来たねー。ようやくここまで来たねー。長かったねー。ビカム君が遊びすぎたから、神様、疲れたよ。あとは任せた! って、感じだね」


 「おっ! ビカムの子の出番だ」


 「誰? 誰? 誰が、ビカムの子なのかなー? どこにいるのかなー、そんな勇者、神様は聞いたことないね。そうじゃないからね。ダンジョンに潜って、お姫様を助けるのは、君! そこの君、どこ行くのビカム君だからね!」


 「ごそごそ」


 「ダメーーーー。角笛吹いてもダメだから。まーた、悪魔三銃士が来るだけだから。君が行かないと物語が進まないからね!」


 「えーーーー、いいじゃん。神様、行ってきて」


 「そういう訳にはいかないなー。残念だけどダメだねー。神様はここまで。残念でしたっと!」


 「神様が、変わりに行くって、言ったのに」


 「あーーーー。それ、ちょっと違うねー。神様、働くとは言ったけど、変わりに魔王を倒すとかは言ってないよ。残念だったねー。って、いつまでたっても、だらだらしてて話が進まないじゃん! もう、しょうがないな、一緒に行くよ」


 「じゃ、ま、そういうことで。行ってらっしゃ~い」


 「そんなの騙されませーん。二度も同じ手に引っかかりませーん。それ、すべってますよー。クスクスッですよー。ギャハハハハですよーだ」


 「フン! ~~~ゴン!」


 「おっと、危ない! まーた、とんでもない魔法を撃ってきたねー。って、何してんのー。ドーンって、大爆発して、洞窟が入り口ごと吹っ飛んでるよ。瓦礫の山になってるよ。どうしてくれるの? ねぇ、ねぇ、ねぇー」


 「神様が避けるから」


 「そうだねー、避けたねー。って、当たり前だろ、このバカ勇者! あんなのまともにくらったら、それこそ、神様が昇天しちゃうよ。天からお迎えきちゃうよ。ほんと、何、大惨事、起こしてくれてるのかなー。頭が痛いよ」


 「でも、神様が避けるから」


 「二度言ったねー。繰り返したねー。どうしても、神様のせいにしたいんだねー。でも君のせい、ビカムのせい、新居浜のせいだからね。お姫様は落盤事故で……、なんて、王様に言えないよ」


 「ザック、ザック」


 「こら、こら、止めなさーーい! なーんで、瓦礫の山にエクスカリバー突き立ててるのかなー。それって、もし、お姫様に当たったら、止め刺しちゃうよ」


 「宝探し! ザック、ザック」


 「おぉぉぉ、って、入口ごと破壊して、上からザックザックって、そんな宝探しあるかーーー! って、何? 手ごたえあったの? え、え、え、何を突き刺したのかなー。神様、冷や汗がタラーーーだけど、やめてよね!」


 「犬耳お姉さんかなー?」


 「ないない、そんなのそこから出てこないから。出る訳ないでしょ。って、ホイッ、ズザーって引き抜いたよ。怖いよ! なに、なにが刺さっているの? って、えーーーーーーー、悪魔三銃士! またあいつら出てきたよ」


 「我ら、悪魔三銃士を刺したのは、お前か!」


 「なに、なに、エクスカリバーに貫かれて、血まみれになりながら、まだ粋がってるよ。悪魔の矜持、見せてもらったよ。しかも1匹なのに、三銃士とか言ってるし。他のやつらは、どこにいるのかなー?? もう訳が分からないよ!」


 「いらねー。外れだ。ポイッ! ザックザック」


 「あーーー、ポイッしちゃったよ。飛んでちゃったよ。そんでまたやってるよ。犬耳娘が出てくるまでやるつもりだよ。恐ろしいね。もういいかげん止めないと大変なことになるね。神様、やるしかないね。よしっ! あれだね。ビカム君、それダメだから、もう止めて。ストープ。終ーーー了!」


 「ぐぅーぐぅーぐぅー」


 「止まったねー。危なかったねー。でも、どうしようか? これ? って、なになに、地面から白旗が……。なんだろ? あっ、悪魔の残り2匹だよ。秘密の抜け道があったんだね。フラフラしてるねー」


 「全滅しました。降参です。参りました。姫はこの奥です!」


 「あれれれれれれれー。そっかー、悪魔三銃士が姫様を捕まえた悪人だったんだねー。そんで、なーんか知らんけど完全勝利してるよ。ま、いっか。ビカム君、起きて、朝だよー。本当は朝じゃないけど、勝ったみたいだよー」


 「うわっ、悪魔!」


 「そうだねー。今度は合ってるねー! 悪魔たちはそこで土下座しているよ。でも、もう終わったみたいだねー。悪魔たち、参りましたって。姫様はこの奥だって。あっという間にダンジョンクリアって凄いね。やったねー」


 「ピーーーーーーー」


 「おいっ! こらっ! そこで、角笛? 角笛ですか? それ何の意味があるのかなー。悪魔たち土下座しながら、震えているよ。飛んで行っちゃったヤツも遠くで震えているね。もう、君の行動は、意味が分からないよ」


 「じゃ、ま、そういうことで。お休みなさい」


 「お休みじゃないでしょ。やっと、ここまで来たんだから、早くお姫様を救い出そうね。ほら、行くよ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る