第9話 魔法
「よしっ! 草原に来たねー。昨日のことはすっかり忘れて、今日はね、魔法、魔法の使い方を覚えるよ。そこで、この草原です。魔法はいろいろできるからねー。使い放題だからねー。やったね! 凄いね!」
「うそ?? 寝ていいの?」
「うーーーんとね。違うからね。時たまなんか、神様の言ってることが、まったく聞こえなくなるみたいだね、ビカム君の耳は。なんかさー、よけいなことだけしっかりと聞こえてたり、神様、いろいろと困ったよ」
「神様、困ったちゃんだったんだ」
「うんうん。そうだねー。君だよ、きみ、きみ、きみだからね、困ったちゃんは。神様はね、あだ名をつけるなら、言葉の魔術師、笑いの伝道師だから。困ったちゃんなんてーのは、まったく当てはまらないね」
「黒板にマジック? 笑いのてんとう虫?」
「そそそ。黒板にマジックで、笑顔のてんとう虫の絵を書いてね。触覚の先にボンボンつけると、かわいいよねー。って、違う、違うよ! どうして、てんとう虫になるかなー。伝道師ね、黒板のほうは全然違うから直したくもないわ!」
「ふわぁー。フッ!」
「なんか、笑ったねー。鼻でせせら笑ったねー。一笑したねー。なにが可笑しいのかなー。それに寝そうになって、思い出したように笑ったねー。4行目まで言っておけば良かったって、神様、反省したよ。って、物語が全然進まないよ」
「そっかー、てんとう虫なんだ」
「まーた、こだわり始めたよ。君の場合、どこで何にこだわるか見当もつかないからね。……でも、今日は魔法なんだから。いい、まずは神様がやるから、見ててね。ファイヤー! ほら簡単でしょ。じゃ、やってみて」
「えーーー。働くのーーーー」
「そ、やるの! 練習しておかないと、いざというときに使えなくなっちゃうよ。ほら、ほら。やりなさーーーい!」
「しょうがないなー。~~ゴン」
「あちちちちちちちっちっちっち! だからー、なんで、こっちに向けて撃つかなー。それも今、なんか凄いの出さなかった!? 火魔法のレベルマックス、なんとかゴンって、怪獣みたない呪文唱えてたよね。ねっ! ねっ!」
「てへぺろ」
「そこで、てへぺろ。てへぺろですか。そうですか、そうですか。お茶目さんを演じてるんですか!? とんでもねぇーな、コイツ。そうじゃないでしょ。神様に当てちゃダメでしょ」
「自分で、やれって言った癖に」
「そう、そうだったね。魔法を使えって言ったね。言ったよ。でも、人というか神様に向けて撃つのはどうかなー。特に神様に向けては、ないよねー」
「言われたから働いたのに」
「あれ? なんかいじけてる? もう、いいや、神様の負け。完敗。まいりましたっ。これ以上、話しを進めると、また、ややこしいことになりそうだしね。あと、働いてるわけじゃないからね」
「じゃ、ま、そういうことで。お昼寝だぁー」
「そういうことじゃないんだけどねーー。まあ、魔法はいちおう使えるみたいだし、今日はいいか。さ、お昼寝はなしで、ほら、行くよ!」
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