第5話 武器屋
「ほら、ここ、ここ。男の子なら、目を輝かして、喜んじゃう武器屋さんだよ。やったぁー、でしょ。少しは元気がでてきたよね」
「えっ! 何すんの?」
「何をするって、これから冒険するんだから、防具を揃えないとね。どう? どう? この鉄の鎧とか鉄兜なんて、いいんじゃない?」
「あっちのオリハルコンがいいな」
「目ざとく見つけたねー。なんでこんなときだけ、そっちを見るかなー。神様びっくりだよ。恐れ入りましただよ。でもね、それはダメなんだなー。冒険者の決まりがあってね。いきなりの良い装備は、ブブーってブザーが鳴っちゃうね」
「じゃ、いいや。オリハルコンで!」
「なんで、そうなるのかなー。神様の言うこと聞こえてる? 君から肯定の言葉を聞くのは嬉しいけどさ。そうじゃないでしょ。ねっ、オリハルコンは、ブブーってブザーが鳴るって言ったでしょ!」
「神様って、貧乏なの? ちゃんと働かないと」
「ないわー、それはないわー。それだけは君には言われたくないねー。今も、それこそ、額に汗して、背中にだらだら油汗が出てるよ。神様は働き者だよ」
「でも、オリハルコン買えないじゃん。やっぱ貧乏なんだ」
「いや、いや、いや。なんか誤解してるなー。買えないんじゃなくて、買わないんだよ。うん、うん。そそそ、それ、それだからね」
「ごまかしてる?」
「あれれれれー。なんかとてつもなく失礼だね。そんなことあるわけないじゃないか。じゃ、ね、もう、それ買おう! オリハルコンの防具、買っちゃうおうね。君が勇者だもんね。でも、夕飯は抜きだからね」
「はー、疲れた」
「疲れたのは神様だよ。もう、あちこち変な汗だらけだよ。君は、何もしてないでしょ? これは、まいったよね。本当にお茶目さんなんだから。でも夕飯はいらないんだね」
「今日も、いっぱい頑張ったし。どこで寝るの?」
「だからさー、まだ、防具を買っただけだよ。まだまだ、お天道さんも真上で働いているのに『もう寝るの!?』って、言われちゃうよ。そりゃ、夕飯抜きだから、寝たい気持ちも分かるけどさ」
「へー、お昼寝しないんだ。神様は?」
「なんで、お昼寝すること前提で、話が進んでるのかなー。するよ、神様もう400年も生きてるから、爺さんだからね。お昼寝は大好きだよ。でも、まだ、ダメ。まだ、寝ないよ。ギルドに行って冒険者登録をしてこないとね」
「じゃ、ま、そういうことで。行ってらっしゃーい」
「はぁーい、行ってきまーす。って違うでしょ! 自然な流れだったから騙されそうになっちゃったよ。君が登録しないと意味がないんだから。ほら、行くよ!」
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