第34話 神様の秘策
「まずいね。まずいよ。HPがあと3251しかないよ。徐々に削られているよ。HP、2億もあったのに、どんだけやられてんだよ。自分で切ったのもあったけどさ。精神が弱すぎるよ。って、まだ卵とか投げられてるし……」
「どんどん投げろーーー。サンドバックだーー。いけいけー」
「うっ! ぐぇ! うっ! ぐぇ!」
「まいったねー。もう、これじゃ、しょうがないね。嫌だけど神様のとっておきを出すよ。あんまり出したくないんだけどさー。このまま終わる訳にはいかないよね。……ほら、来い! 天使サキエル! 天使シャムシエル!」
「えっ! キャーー! なんでこんなとこにいるだすか?」
「サキエル! お、お前、何してんだ。全裸だぞ!」
「シャムネコまで……、って、変態! 見てんじゃないだすよ。……って、あんただって、全裸だすよ。って、天使はみんな全裸だす。ギャハハハハ。こいつバカだすなー」
「こら! 誰が、シャムネコだ! 俺はシャムシエル、そんな弱そうな名前の天使じゃねーよ。それに、お前に変態呼ばわりされる覚えはないぞ!」
「なんだすかー。やるだすかー。また、また、にゃーにゃー泣かせてやるだすよ」
「ね! ね! 分かるでしょ。神様の苦労が。こいつらさー、ビカムとどっこいどっこいなんだよねー。バカさ加減が。はいはい。サキもシャムも、いーい。神様が呼んだの。天使なんだからさー、ちゃんとしようね」
「誰だすか? このじじいは?」
「さあ、知らんな。こんなじじいは。やっちまうか!」
「てめーら。ふざけんなよな! 特務機関の指令とかその息子とかご学友とかいっぱい呼んでくるぞ。いいのかー。お前ら弱いくせに! 暴走してもらうからな!」
「またまた~、冗談だすよ。神様のことを忘れる訳がないじゃないだすか。そんなに熱くなると、血圧が上がってポックリだすよ」
「そ、そうだよなー。神様一番。神様偉い。神様最高。よいしょっと!」
「あーーぁ、もうさ、こいつらの相手をしていると、それだけで勇者が死んで物語が終わっちゃうよ。やっぱ呼ばなきゃよかったかな? ま、でも、仕方がないね。ほら、ここにいる狸耳娘どもを黙らせてこい。いいな、仕事しろよ」
「えーーー、それ神様の仕事だすよー」
「そうだよ。神様が仕事するって言ったから、天使になったんだよなー」
「こら! ビカム天使! さっさと行け。危ないんだよ。HP1912なんだよ。いい加減にしないとお前ら、ビカムだからな。それ以外を名乗ることを許さないからね。いいんだね。今日からビカムと一緒の名前だからな」
「さ、お仕事するだよ。シャムネコ」
「そ、そうだな。サキエル」
「やっと、言うこと聞いたよ。ふーもう疲れるよ。でもビカムのアホさは天使界でも有名だったんだね。こんなのが利くとは思わなかったよ。よしっ、天使たち行ったよ。これでビカム君も助かるし、やつらは一網打尽だね!」
「うわっ! なんか変なの来た。ふたつ飛んで来たー」
「ジャーーーー! ジャーーーー! ジャーーーー!」
「うわっ、うわっ、うわーーー、水だ! 放水してる。溺れる! 助けて、助けて。もうしません、うさぎさん!」
「ギャハハハ、狸が溺れてうさぎに謝ってるだすよ。これは、おもしろいだすね。もっとやるだす。ジャーーーー! ジャーーーー! ジャーーーー!」
「ぎゃーーーー、助けてーーーーー」
「悪い子はいねがー! 悪い狸はいねがー!」
「うわっ! こっちは、悪い子を探してる。怖い、怖い。逃げろー」
「逃がさないぞー。捕まえるぞー。檻に閉じ込めるぞー。ほいっ! ほいっ! ほいっ! ほいっ!」
「あっ、あっ、あっ。捕まった。助けてーーーー。出してーーーー」
「はぁ。HP623で止まったよ。危なかったねー。じゃ、あとは、お前ら適当にお仕置きしていいから! あーーーでも、やりすぎるなよ。あんまりやりすぎたら、あとで神様がお前らをお仕置きするからね!」
「そ、そんなー。天使に向かって、なーーにを言ってるだすか」
「そそそ、そんなことしませんよ。いやだなー。サメがいる海にバンジージャンプさせるくらいですよ。縫い糸で!」
「ぎゃーーーー、狸殺しーー。それ、バンジージャンプじゃない。突き落とされるー! 鬼畜、鬼畜天使だー! やめて、やめてください! ほんの出来心なんですよー。魔王にそそのかされただけなんですよ」
「お前らうるさいだすよ。それなら地獄の獄卒呼んでフルコースにするだすよ」
「おっ! 地獄か。それなら、ケルベロスのケルちゃんでも呼んで、ぱくぱく食わせるか。キャンキャン喜ぶぞーー」
「ブルブルブル! いやーーー。それ、もっといやーーーー。助けてください。勘弁してください」
「ギャハハハハハ。だすよ」
「ガハハハハハハ。だな」
「はいはい、あーーもう、そんなのどうでもいいや。よろしくね。そんじゃ血まみれのビカム君を助けないとね。まったくとんだバカだよね。自ら罠に嵌って、手首を切るとか意味わかんないよね。最強勇者の名が泣くよね」
「う~ん……。犬耳姫~~」
「卵とか泥とかの汚物と血にまみれながら、犬耳姫の夢見てるねー。……さて、起こすかね。ビカム君、起きて、朝だよー。本当は朝じゃないけど、早く、回復魔法を使わないと大変だよーーー」
「あれっ! あれっ! うぇーー、きたねぇー。血まみれだ。くらくらする」
「そうだよ。血はね、自分でやったんだからね。うさぎたちと同じ手に引っかかった、ただのバカだからね。神様が、傍にいなかったから止められなかったよ。もうHPがほとんどないからさ、さっさと回復して綺麗にするんだよ」
「ウサ耳姫がまたやったんだ。ちゅーちゅーって」
「ちげーよ。お前だよ。お前! 自分でやったの。神様この目で見ました。って、吸血姫にやられたことあんの、そんなこと! 神様が知らないところで、お前、何してんだよ。昇天願望、強すぎるよ!」
「犬耳姫とキスしてるときは、いつもしてるよ」
「あーーー、もういい。もう聞きたくない。はいはい、その話は終わりね。それはやるよね。やるわ、あの姫様なら。うんうん。よーく分かったから。さっさと回復魔法を使ってHPを戻して、水魔法でも浴びな」
「じゃ、ま、そういうことで。えい! えい!」
「もうさ、さすがにビカム君も今回ので懲りたよね。魔王との通信スキルも使っちゃダメだよ。また、罠を張られるだけだからね。じゃ、次の村で情報集めだね。ほら、行くよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます