第28話 必殺技
「あっ、あっ、あっ、脱走だ。脱走者発見! キャプテーーン!」
「うん? 何っ!? 見張りはどうした? 何であいつらが出てきてるんだ? しかもふざけた被り物しやがって。あのエロ勇者め!」
「あっ、見つかっちゃったよ。やっぱ段ボールに隠れても意味なかったね。ビカム君、暗いところ苦手で、もうさ、この世の終わりのようなダダこねて、結局、段ボールかぶっただけだし。そりゃ変な人一丁上がりってだけだったよね」
「あーーーぁ、見つかった。神様のせいだ」
「もう、いい。今は、それでいいよ。それどころじゃないからね。……あれっ、あれっ。あっという間に囲まれちゃったよ。みんなオールを持って構えてるよ。何、何、これが狸に対する復讐の最終戦!? ボコボコにされるの!?」
「どうやって船底から出てきたかは分からんが、ちょうどいい、ふたりまとめて血祭りにしてくれる。よしっ! やれー」
「変態勇者。キモッ! アハハハハ」
「エロ勇者。キモイんだよ! キャハハハハ」
「エロガキ。触んな。こっちくんな。ププププププ」
「さっさと逝ってください! クスクスクス」
「【画像あり】バニーの胸でラキスケした結果www 晒せー。ギャハハハハ」
「なになに言葉攻め!? オール意味ないじゃん。罵声浴びせて血祭りって、やっぱ幼稚園児だねー。さっさと卒業しろよ。そんなの怖くないね。って、えーーーー、なになに、どうしたの? ビカム君、顔を抑えてしゃがみ込んで」
「もうダメだ。キモイって。アップされる……、死のう」
「ちょ、ちょっと待ったーーー! こらこらエクスカリバーで手首切らない。ダメだから、ビカム君は強いんだからね。気にしない、気にしない、まったく気にしなくていいからね。悪者の戯言だからね」
「でも、ラキスケを晒される。怖い、怖い。もうダメだ」
「あーーー、もう困ったねー。これは大ピンチだね。さっきまでは、こんなピンチになるとは夢にも思わなかったよ。どうすればいいだろうね。あっ、もう、こうなったら、あれだね。ビカム君、角笛、貸して。ほら、早く」
「クックックック。利いてる、利いてる。我らの必殺技『天国から奈落へ』の恐ろしさを存分に味わい、とことん病んでしまえ!」
「ちやほやして──↑↑──高いところに連れていってからー、どん底──↓↓↓↓↓──。キャハハハ」
「うわっ! リアル怖い、怖すぎる。二次、二次に逃げたい……」
「やっぱ、やばいね。うさぎさんの外見に騙されたよ。恐ろしい相手だよ。精神攻撃って、これはビカムに利くねー。って、かなり利いてるしね。もう、これしかないね。なんとか成功してくれよ。ピーーッ、ピーーーーッ」
「バカが。じじいが笛を吹いたところで、今更なにも……」
「うん? もう朝かの? って、なんでこんなところにおるのじゃ? 妾はまだビカム殿との夢の中だったはずじゃが? なんか不快な笛の音が聞こえたようじゃがのう……」
「みんなー、なんか来た。気をつけてー。大変だよー」
「えっ! なんか一瞬で現れた。ここ海の上だよ。って、いうか、誰? 誰? この人、誰? 眼が赤いよ」
「おお、そうじゃったな。人前に出るときは、これをつけないとな」
「わーい。ウサ耳姫だー」
「おおお、ビカム殿。して、これは夢の続きかのー? ならば、これから妾は、ビカム殿の首筋にお休みのキスを……。じゅるっ」
「はい、はーい。お芝居はそこまでね。よく来てくれました、吸血姫様。こいつらがビカム君をいじめました。お仕置きをお願いします。特にそこのキャプテン・ラビット。そいつには、きついやつをお願いしゃっす!」
「うん? ゴミ虫か。なんで夢の中におる? 妾は呼んでないぞ」
「えーーと、ですねー。夢ではありません。ついでにゴミ虫ではありません。で、今はリアルです。現実です。ビカム君のピンチです。大ピンチです。これ以上ないピンチなので、神様が吸血姫様を呼ばせていただきました」
「……バカ者がーーー! ゴミ虫の分際で……。どうりでキモイ笛の音だったのか、って、思い出したわ。うぇーーーー、キモッ」
「あーーー、もうさ。それはあとで謝ります。謝りますから、なんとかしてください。なんかキャプテン・ラビットが魔力を溜めています。早く、急いで!」
「クックックック。茶番はそのくらいにしてもらおう。じゃ、ま、そういうことで。勇者よ、くたばれ! ラビットサンダースペシャルリターンズ!」
「わーい。キャプテンの必殺技炸裂。ドーンだね。ビリビリだね。木端ミジンコだね」
「「へっ!?」」
「あれ? あれ? あれー? 今、当たったよね? 直撃しましたよね?」
「何、何、それ何が当たる宴会芸? 楽しいの?」
「おおおーー、さすがオリハルコン。神様を散財させただけあるねー。あれを受けてなんともないって。まあ、バカの防御力も高いからねー。キャプテン・ラビットも唖然、呆然だね。あっ、吸血姫様が激怒。スイッチ入った。勝ったね」
「貴様らーーー」
「「「ひぃ、助けてーー」」」
「その宴会芸は、妾にも教えてくれるんじゃろな」
「じゃ、ま、そういうことで。宴会ね」
「そそそ、楽しい宴会芸だねー。って、そっちーーー! そっちで激怒したの? 何、何、こんなのありですか? 最低でもキャプテンを倒してくんなきゃなー。これは違うでしょ。って、誰も聞いてないか」
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