第27話 キャプテン・ラビット

 「聞いてしまったようだな……。勇者の仲間よ」


 「いえ、いえ、いえ。何も聞いてませんよ。なーんにも聞いてません。あなたは何か勘違いされているのでは? 神様、見ざる、言わざる、聞かざるですよ」


 「クックックック。面白い、じじいじゃないか。でも、そんな言い訳が通じるとは思ってないだろ? それに神を語るとはな……」


 「あれー、あれー、どうしたんだろう。なんか違うよね。キャプテン・ラビットさん間違ってますよ。うんうん。そうだ、そうだ。あれっ、間違っちゃったー、テヘペロですよー。じゃ、ま、そういうことで!」


 「こらこら。逃げられる訳がないだろう。ふふふーん。…………じゃ、ま、そういうことで、死んでもらおうか。えいっ! あれっ? ほらっ! あれ、あれ? 何だ。何なんだ、あんた」


 「残念でしたー。神様だよーーん。神様、死なないんだなー。そんな剣で刺されても死なないから。ピンピンしてますよーだ」


 「うぐっぐぐぐぅぅぅ。ま、魔王様、私にお力を! …………魔力大放出……。くらえっ! ラビットサンダースペシャル」


 「あぎゃーーーーーーーー!」


 「ふん、気を失ったか。手間をかけさせやがって。死なないみたいだが、邪魔はさせん。船底に閉じ込めろ」


 「はーい。いくよー、えっほ、えっほ」


 「ビカムキーック! ドカッーーーン」


 「おい、おい、おーーーーい。お前は何をしてる? お仲間が吹っ飛んでいったぞ。いいのか? 私は知らんぞ。貴様のせいだからな」


 「ダメだよ、神様なんかと遊んじゃ。ダメに決まってるじゃん」


 「そ、そ、そうだな。そうだ、そうだ、そうだよな。もちろん勇者様が一番だ。お前は何か勘違いしてるぞ。ねー、みんなー」


 「うんうん。そうだよー。勇者様ぁ♡」


 「わーい、うさぎさん戻ってきたー。やったぁ!」


 「♡勇者様♡ビカム様ー♡勇者様ぁ♡」


 「ふーーーー。エロガキで助か………」


 「そこのお姉さんバニーも、来ないとダメだからね」


 「えっ! いやいや、いやーー。私はさ、そのさ、ちょーーっと用事があるし。キャプテンなので、船内の見回りとかしないと……。私のことは放っておいて、君はさ、みんなと仲良くしていようね」


 「あーー。それって、もしかして神様に、ぱふぱふするとかかぁー」


 「な、な、何を言ってるのかなー。お姉さん分からないなー」


 「あーー。誤魔化した。ダウトーー」


 「いやいやいや。ダウトとか止めて。そんなことないです。ありえません。それだけは、絶対にありえません。キモイです。お願いですから、どうかお願いですから、勘弁してください。そんなことを想像しないでください。キャプテン・ラビットは、嘘はつきません。それは、もう、とんでもない勘違いです」


 「ぐぅーぐぅーぐぅー」


 「ふーー。どうやら私の恐ろしさに、ビビって気を失ったようだな。ハッハッハッハッハ。勇者といっても口ほどにもない。さっきのはまぐれだな」


 「わーーー。キャップテン・ラビット様、最高! 私たちの主様ぁ」


 「うんうん。可愛い子分たちよ。よく耐えた。よーーーく頑張った、偉かったぞー。よしっ、こいつらをまとめて船底に閉じ込めろー」


 「はーい。いくよー。えっほ、えっほ」


 「うーーん。えっ? ここどこ? なんで神様寝てたの? 何、何、ビカム菌に侵されたの? 怖い、怖いよ。それだけは、いやだよ。って、あーーー思い出した。キャプテン・ラビットにやられたんだ。それで、ビカム君は?」


 「ぐぅーぐぅーぐぅー」


 「あー、お休み中ね。って、まさか、あいつら、3行ルールまで知ってたの? まさかね。そんなことはないよね。とにかく起こさないと。ビカム君、起きて、朝だよー。本当は朝じゃないけど、うさぎにやられて大変だよー」


 「あっ、卑怯な神様だ。お姉さんとぱふぱふしたでしょ」


 「うーんとね。君はさー、寝起きにいきなり何を言ってんのかなー。何のことか分からないけど、ビリビリドカーーンってのは、やられたけど、ぱふぱふはなかったよ。それよりさ、キャプテン・ラビットを倒さないとさ」


 「ダメ! 神様が仲良くビリビリなんて、ダメだよ。キモッ」


 「なんかさー。もの凄く大変な場面なんだからさー。もっと真面目にやってくれないかなー。キャプテン・ラビットはね、魔王の手下だから。いーい、あいつらの罠に嵌められたの。勇者の大ピンチなんだよ。ねっ、分かった」


 「誤魔化しているよ。きたねぇー。このエロ聖職者め!」


 「あーーもう、こいつ、どうしてくれよう。困ったねー。はーぁ。もう一度言うよ。君がなんか変な想像をしてるキャプテン・ラビットはね、魔王の手下。このままだと、やられちゃうの。なんとかしないとね。ねっ!」


 「えっ! 魔王? 魔王がお姉さんとぱふぱふ……。認めないね」


 「こいつ、本当にサイテーなやつだね。この独り占めハーレムしか認めない独占欲、凄いよね。……って、待てよ。そっか。よーし、それじゃさ、お姉さんが魔王に取られないように捕まえよう。どう? どう? これ、いいでしょ」


 「じゃ、ま、そういうことで。えぃ! ドカーン」


 「おおお、納得したよ。成功だよ。あっさりと扉を蹴破ったよ。見張りのバニーたちも飛んで行ったよ。よしっ! じゃあラビットたちに反撃開始だね。いいねー。そうこなくっちゃね。ほら、行くよ!」

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