第20話 英雄のほこら
「さぁ、来たねー。ワクワクの大冒険。あそこが、英雄のほこらだよ、って、何、何、いきなり。誰? ウサ耳娘のバニーガール? なんで、手招きしてるの? ここどこ? 何が英雄のほこらなの? バニーのほこらじゃん!」
「うーん、ねむっ……。どけっ。ドカッ!」
「痛ててててててて。まーた、蹴りやがった、まーた、神様、蹴りやがった。なんなのあいつ! これって、お決まりのコースかなぁ? 不愉快だねー。ハーレム要員追加ってこと? ねぇ? ねぇ? そんなのいやだよね?」
「勇者ビカム。ただいま参上!」
「ダッサ! ダサダサ勇者だね。これじゃ100年の恋も冷めるよね。安心だね。はぁーー、良かったよ。それにしても、なんでウサ耳娘? セミロングのゆるふわお姉系の髪型、細身で形のいい胸って、ビカム君のドストライクだね」
「ウサ耳姫様。勇者ビカムです」
「あれ、あの子、何も喋らないね。まだ、笑顔で手招きしているよ。あ、ビカム君が近づいた……。って、何してんの? そんなにくっついて、いきなりですか? 見せつけるんですか? そんなの見たくないですよ」
「ちゅーーーーーー」
「はぁーーーー、気持ちいいーーー!」
「ち、ちっ、ちょっと待ったー! ビカム君、それ愛されてないから、違うから、早まっちゃダメだよ。昇天しちゃうよ。それね、血を吸われてるだけだよ。バニーのお姉さん、牙、出してたよ。こらこらーー、あんた、誰?」
「うん? 気づかれたか。妾は吸血姫。このほこらの主だ」
「えーーーーーーーーーー。あのバカ村長。ここにドラゴンがいるって言ったのに、なんで吸血姫がいるの? どんな見間違いだよ? ドラゴンと吸血姫って? ブリザードとかファイヤーとかのレベルじゃねーよ」
「何を言うておる、そこな者。これが伝説のバカ勇者であろう?」
「おっ、おーーー。正解! ピンポンピンポン! 凄いね! この姫様はまともだね。ようやく、まともな女の子に出会ったよ。女の子じゃなくて、ヴァンパイアの姫様だけどね」
「パイパイ、あ、やったね」
「あーーーもう、ビカム君は、今は、どうでもいいね。君は、しばらく昇天してていいわ! 神様、吸血姫のお姉さんと物語進めるから。血吸われて、眩暈してるでしょ。そそそ、そのまま寝てていいよ。おやすみなさーーい。もう起きなくても、いいかもだねー」
「ぐぅーぐぅーぐぅー」
「やはり、変態勇者であったか!」
「正解! ピンポンピンポン! 第二問クリア! さすがです、吸血姫様! 神様、ちょっとファンになりそうだよ。でも、なんでそんな恰好、って、そのウサ耳もゆるふわも、ひょっとしてウィッグ?? づらかよ」
「それと、ミジンコ勇者とも言われておるとか!」
「おおお、またまた大正解! 神様の突っ込みは、華麗にスルーされて、あと二問! あと二問で、ハワイ旅行です」
「極めつけは、神様を困らせまくる、ぐうたら勇者であろう!」
「感動の大正解です! 神様、泣いています。涙が止まりません。そして吸血姫様には、後光が差してまいりました! さあ、あと一問で、世界一周旅行に賞品も変更です。もうプレゼントしちゃいます。おー!」
「ふむ、そうか、そうか。じゃ、ま、そういうことでは、妾の婿とせねばな!」
「ブッブッブーーー。ビカム君人形、没収ーー! 残念でした、また来週。って、何? 何、言ってんの?? あんた自分でミジンコとか言ってて、ミジンコに嫁ぐの? ミジンコだよ、ミ・ジ・ン・コ!」
「ふーーむ? 妾は、何か、おかしなことを言ったか?」
「あんたもね。村長と同じ、頭のネジ飛んでます。間違いありません。もう、なんなのさー。この村。……って、ところで、なんでそんな恰好をしているの? バニーガールの吸血姫なんて、聞いたことないけど?」
「なんか、失礼なことを言われておるような……」
「うーん。むにゃ、むにゃ、うさぎさーん。ぱふぱふ」
「はいはい、いい子、いい子。ミジンコ勇者は、もー少し眠ってていいからね。まだ、お話の途中だから。邪魔はしないでね。また、あっちっちみたいなのはダメだからね」
「ポワ……、やはりバニーは正解か。妾の瞳は赤いからのー」
「ちょっと、ちょっと眼が赤いのを隠すため? それでバニー? あーーもうダメだね! やっぱ変な人だ。人じゃないけど決定だね。それにまずいね。これ。ポワとか出てるよ。困ったねー。危険だねー。逃げるしかないねー」
「ポワ……、やはりお主が、生涯の伴侶か。600年も生きてきて、ようやく巡り合った……」
「あちゃーーーー、どんどん、ビカム菌に浸食されてるよ。それに100年の恋じゃなくて600年とか、長すぎるよ。大変だよ。まずい、まずい! ビカム君、起きて、朝だよー。本当は朝じゃないけど、逃げるよ。速攻、逃げだよ」
「やーだー、まだ、ぱふぱふ足りなーい」
「やだじゃないの! ここは危険だから。すぐに逃げないと、また大変なことになるから。それに、ぱふぱふとかいらないから。物語とは関係ないから。ほら、行くよ!」
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