鳥の姿は
着陸を終えて格納庫のすぐそばに機体をつけると、千鶴はエンジンを切った。上下左右を映していたモニターが眠りコックピットは一瞬暗闇に満たされるが、すぐに薄暗いオレンジ色の予備灯が点灯する。
ベルトをはずして座席の隣のレバーを引くと、天井にまばゆい光の亀裂が入り、ゆっくりと大きく開いて本物の空を千鶴に見せた。
千鶴は天井に空いた穴から身を乗り出し、機体から飛び降りた。オイルまみれの作業着の学生たちがやってきて、千鶴の乗っていた機体の点検が始まる。あとは整備科の学生にまかせるだけだ。
千鶴はヘルメットを外して空を仰いだ。真っ赤な髪がふわりと風になびき、透き通ったエメラルド色の瞳が日光を受けてきらきらと光る。
「千鶴!」
呼ばれて振り向くと、ブレザー風の白い制服姿の陽介が笑顔でこちらに手を振っていた。
千鶴と同じ訓練用の紺色のパイロットスーツに身を包んだ雪輝も、ヘルメットを抱えて陽介の隣に立っている。雪輝の束ねられた長い黒髪が春風に吹かれていた。
「おう! 今行くよ!」
千鶴は手を上げて応えると、二人のもとへ駆け出した。
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