第28話
ディアボロスの行動を眺めていたアリシアは
「ルート選びが、すごく的確ですわ」
「放っておいても、宝箱の部屋にたどり着きそうだな」
セルディックは肩を竦める。
「しかし、セルディックさん。ディアボロスが、大人しく宝箱を開けると思いますか?」
「宝箱を見たら、誰だって開けたくなるだろ」
見た目だけなら高級そうな宝箱だ、とセルディックは続ける。
「相手は、今さら宝石とか高級品は欲しがらないかと」
「……うーん」
セルディックは顎に手をあて
「なら、これでどうだ?」
紙にスラスラと文章を書き始める。
「ダンジョン化したとはいえ、我が城を攻略するなど簡単なこと」
ディアボロスが北側の部屋を開けると
「ほう、宝箱か。ここが、ゴールというわけか」
台座に安置された宝箱に近づく。
そして、宝箱の下に置かれた書き置きを見つける。
『美女が口を開けて待ってるよ。記憶が飛んじゃうかも』
「これは、期待するしかない!!」
勢いよく宝箱を開けたディアボロスを見て
「よし、かかった!」
ガッツポーズをするセルディックとは対照的に
「男って……」
アリシアは、呆れ顔をしていた。
得体の知れない何かに飲み込まれ暗転。
しばらくしてから、ディアボロは目を覚ました。
しかし、やたらと視線が低くなっている。
そして、目の前にレオンの姿を見て
「憑依が、解除されている」
自分が左手だけの元の存在に戻っていることに気づいた。
「仕方ない。もう一度、こいつに……」
近づこうとしたが、見えない壁に阻まれた。
「これは……」
よく見ると、レオンには魔除けの札が貼られている。
「同じ手は使わせませんわ」
アリシアに阻まれ
「こ、小娘が」
後ずさりをしたディアボロスを
「逃がすか、大人しく封印されろ!」
そして、油断をしていた隙にセルディックが剣でディアボロスの手の甲を貫いた。
電流が流れるような痛みに
「ぐあああああっ」
ディアボロスは呻き声を上げる。
普通の剣が、悪魔に予想外のダメージを与えられるわけがない。
その剣の刀身を見て
「ま、まさかこの剣……」
ディアボロスは、昔のことを思い出していた。
あれは医者をしていた頃、セルディックの祖父であるアルフレッドの屋敷に往診に行った時の話だ。
「また、こんなに武器を」
「ベルゼブルのためというのもありますが、私も武器を眺めるのは嫌いではありません」
武器を集めるのが好きなベルゼブルのために、アルフレッドは部下を使って各地方から武器を集めていた。
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