第24話

「ワタシすごくお腹減ってるの」

レヴィアタンが不気味に嗤う。

「に、にゃー」

ベルゼブルが入れられた檻に、白銀の鎖が巻きついた。

「いただきます」

双子と同じように、ベルゼブルはミリアムの影へと飲み込まれる。

「母上、なんで……ベルゼブルはオレの相棒です」

セルディックに問い詰められて

「全ての悪魔はワタシーーレヴィアタンの糧にさせてもらうわ。もともと、孤児院を作ったのもそのためよ。アナタとベルゼブルは、なかなか引き離せなかったけど都合のいい状態に持込たものね」

ミリアムが答える。

「まさか、孤児院の子供たちが帰って来なかったのは」

動揺するセルディックに

「悪魔の血筋は人間と混ざって以来、かなり枝分れしてしまったわ。可能性のある家の子供たちから、アタリを引くのはなかなか難しいの」

「それが、この研究所にあった祭壇ですか」

眉を顰めたネロを見て

「あら、見て来たのね」

「……マモン様から、貴方とディアボロスはかつて恋仲だったと聞いております」

ミリアムが顔を顰める。

「聖女様と魔王ディアボロスが、一体どういうことですの!?」

驚いて目を大きく見開いたアリシア。

「お前、それ……」

「勇者さん、もう隠す必要もないでしょう」

ネロはミリアムに視線を向け

「聖女様は、魔王ディアボロスへの復讐のために教会を作って勇者セルディックを討伐に向かわせた」

聖女が、かつては魔王ディアボロスと恋仲。

これが戦士ギルドや人間たちに知られたらスキャンダルである。


「……幼いワタシに、声をかけてくれたのはディアボロスだけだった」


ボロボロの状態で倒れていたミリアムに


「共に世界を変えてみないか」


くたびれた眼鏡の男ーーディアボロスは手を差し伸べた。

「彼の語る言葉は、本当に魅力的だった。ワタシは、彼のために尽くしたのに……」


そして、あの事件が起こった。


「ディアボロス、これは何なの?」

白衣のポケットには、ピンクチェリーと書かれたカード。

「えーと……その喫茶店。ち、ちなみに延長コースもある」

「ふざけないで、この傲慢野郎!!」


そして、ディアボロスに対抗するために教会が設立された。


「……その、あまり言いたくないのですけど」

少し引き気味のアリシアは

「わたくしたち人間は、身内のゴタゴタに巻き込まれたことになりますわよね?」

「だから、言いたくなかったのに」

セルディックは視線を逸らした。

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