第20話

ディアボロスは殺風景な城内を眺め

「復活祝いに、宴会でも開くか。おい、そこのスライム」

柱の影からウゴウゴと出てきた、青色の不定形の魔物。

「人間に化けて、近くの村から若い娘たちを連れて来い。今回は、それなりに顔がいい……モテること間違いなしだろう」

その様子を見て

「……」

「……」

双子は冷めた視線を、主であるディアボロスに送る。

「そんな目で見るな」

「ディアボロス様が」

「……お母様と別れた原因」

ディアボロスは双子から視線を逸らしながら

「あ、あの日はちょっと遊びに行くつもりで……」

「ベロベロに酔っ払って」

「首筋にキスマーク……」

「と、とにかく、男のロマンを理解しない嫉妬女とは分かれて正解だ。おまけに、余の子供たちの半分を教会側に持っていった」


フォルテの町・医療用の救護テント


「クシュン」

「……聖女様、お風邪ですか?」

リリアに聞かれ

「誰かが、悪い噂をしているようです。だいたい、想像できますが」

白いベールを被った神秘的な雰囲気の女性。

その手には、精巧に作られた女の子のからくり人形。

「シスター・リリア、町の人たちの搬送が終わりました」

「ご苦労様です。あなたたちも、少し休みなさい」

見習いシスターたちは、一礼してテントを出ていく。

「聖女様の結界の加護により、魔物の目くらましになっています。その、わざわざ来ていただいて……」

頬を赤らめたリリア右肩に、聖女ミリアムが手を触れる。

「アナタの迅速の対応のおかげです」

からくり人形が、言葉を発した。

「聖女様、これから教会の方に戻られますか?」

「……少し、北の方まで足を伸ばそうと考えてます」


鬱蒼とした森の中に、半壊した赤レンガの建物。

近くには、子供の遊具が散乱している。


アリシアは見上げながら

「どうやったら、こんな壊れかたを……」

「これは、母上だ。あの時は、とにかく機嫌が悪かった」


知り合いの医者の研究所から帰ってくるなり

「もう、あんな男には頼らない。子供たちの半分は、教会に連れていきます」


「そして、超絶優秀だったオレは勇者に……」

無駄な中二ポーズのセルディックに

「自慢したいだけですわね」

ジト目を送るアリシア。

「にゃー」

「ベルゼブル様は、ほほ自分のおかげだと言ってます」

ネロの言葉に

「細かいことはいいんだよ」

「それで、ナーストレンドはまだ先ですの?」

ネロは地図を広げ

「もう少し先ですね。孤児院の裏の方に、舗装されている道があります」

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