サメを食べる!!

 ロロナとフェミルが寄ってくる。


「食すことができるものなのか……?」

「本では、食べれるって読んだことがある気がします!」

「そうなのか」


 ロロナたちと会話しながら、ナイフを胃に刺してみた。

 白い砂がドバーっとでてくる。

 星のような形をした砂の一部は、うにょうにょと動いてた。


「ええっとね、ケーマ。海砂の砂はね……」

「海砂の砂は、とても小さな貝の貝殻で作られているらしいです!

 ケーマさんが倒したサメは、『砂』である貝も食べるっていうことですね!」

「ふえぇ……」


 知識の泉にアクセスをかけていたローラだが、素で知っていたフェミルに先を越された。

 ただでさえ役に立たない駄女神の存在意義が、ますます消えてしまっている。


「にしても砂が生きてるとはねぇ……」


 しかしながら地球にも、星砂と呼ばれる砂はあった。

 おみやげとして有名な砂であるが、元は有孔虫という生き物である。

 それの死骸が積もり溜まって、砂となっているわけだ。


「生き物だって言うんなら、食えるのかな……」

「ほっ、本には、記載がありませんでした……」

「食べる部分がなさそうであるしな……」

「とりあえず揚げてみるか」


 鍋と油を用意した。

 薪もセットし、加減した火炎放射で火をつける。


「油で揚げるのはどうしてなの? ケーマ」

「『とりあえず揚げとけ』は、業界の合言葉だ」

「どの業界?!」


 ローラはごちゃごちゃ言ってたが、意外といい感じである。

 中に入った海砂が、こんがりとしたキツネ色になっている。

 普通の砂が混ざってしまうことも懸念されたが、それは油に浮かんだりせず、底のほうに溜まってる。


 網ですくって油を切って、ふうーっと冷まして口に放った。

 サクッとした歯応えに、香ばしい触感。

 地球で売ってたスナック菓子のような感じだ。


 てれれ、てってってー。

 レベルもあがった。



 レベル    1659→1661(↑2)

 HP      22157/22157(↑14)

 MP      21892/21892(↑18)

 筋力      22419(↑20)

 耐久      24579(↑24)

 敏捷      22416(↑12)

 魔力      21174(↑14)


 習得スキル。

 シェルガードLV1 4/50

 砂中潜伏LV2   20/150



 砂の中に潜む貝のような生き物らしいスキルといった感じだ。

 しかし砂漠以外では、あまり使える気がしないな。

 そんなことを考えつつも、サメの肉も調理した。


 体はデカいが、基本的には白身魚だ。

 とりあえず食べる分だけ焼いて塩をまぶした。


 皿の上に乗せる。

 ほどよく焼けたフォルムに、切り身の端から脂がじわりと垂れている。

 芳醇な香りは、口に入れる前から美味しいことを予感させた。

 箸でほぐして、ほどよい大きさにして食べる。

 口の中でパサッとほぐれ、白魚独特のうま味がふわりと広がる。


 てれれ、てってってー。

 レベルもあがった。



 レベル    1661→1681(↑20)

 HP      22337/22337(↑180)

 MP      21992/21992(↑100)

 筋力      22600(↑181)

 耐久      24699(↑120)

 敏捷      22566(↑150)

 魔力      21254(↑80)


 習得スキル。

 シャークバイトLV4  23/500

 シャークチャージLV3 80/300

 砂中強泳LV4     13/500

 盲目遊泳LV2     11/300

 砂ザメの嗅覚LV3   50/300


 一気に20もあがった上に、よさそうなスキルもゲットした。

 スキルのレベルは、4あれば達人級だ。

 そう考えると、これは相当にすごい。

 ちなみに砂中強泳は、砂の中を力強く泳ぐスキルらしい。


「ケーマどの、ケーマどの!」

「ケーマさま……」


 ロロナがオレの服を引っ張り、フェミルは遠巻きに見てきた。

 オレはふたりにサメを食わせる。


「クウゥン……!」

「はうぅんっ……♥」


 ロロナもフェミルも満足そうだ。


「ケーマ、ケーマ。アタシにも、アタシにもぉ!」


 ローラが口を、あーんとあけた。

 それはなかなかにかわいい。

 オレは箸で白身をつまみ、ローラの口の中に入れてやる――。


 と見せかけて引っ込めた。


「ふえぇ?!」


 戸惑うローラに言ってやる。



「悪いなローラ。実はこのサメ、三人用なんだ」



「こんなにあるのに?!」

「本当に申し訳ない」

「っていうかどういう理屈なの?!」

「わたしにもわからん」

「わからないならちょうだいよおぉ!!!」

「この状況に慣れれば慣れるほど、オマエは楽になれるぞ」

「なりたくないしぃ! 普通にごはん食べたいしいぃ!」

「ほれ」


 オレはサメを食わせてやった。

 いじわるした分、一番大きくておいしそうだった部位だ。

 もぐ……、もぐ……、もぐ……。

 咀嚼するローラに、オレは尋ねた。


「味はどうだ?」


「おいしいっ! ほろりととろけて広がる白身に、絶妙な潮の香り!

 ほっぺがとろけて体もとろけて、海の藻屑に変わっちゃいそう!!」


「変わったらダメだろっ?!」

「ケーマ、ケーマ、もう一口、もう一口! あーん! あーん!」


 駄女神であるローラには、オレの突っ込みもどこ吹く風だ。

 地面に手をつき口をあけ、おかわりをねだる。

 まったく、仕方のない駄女神だ。

 オレは普通に食わせてやった。


「ふえぇん、おいしいぃぃぃ!!」


 そしてローラが喘いでいると――。

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