ケーマに勝るとも劣らないチートを持つ敵~作品史上で最強~
死を覚悟したらしいロロナが、敵に向かって剣を構えた。
「助けてもらった恩義は返す! だから早く逃げるのだ! コサカイケーマ!」
ロロナが必死に叫んでいる合間にも、サイクロプスは再生を始めている。
装甲めいた漆黒の鎧が新たに生まれ、全身を包み始めている。
天然の装甲を持つ『貝』がカラを作る光景を、高速再生で見ているような気分だ。
あの鎧はきっと、さっきの斬撃も耐えるのだろう。
「ここはわたしが、命に代えても引き止めるっ!!」
ロロナがなにか言ってるが、オレは手元をチラと見た。
白くもこもことした物体が動いている。
先ほど細切れにした、あのモンスターの一部だ。
ポイントを使ってローラから借りた、鑑定スキルを使用する。
◆ホワイトクラウド
出会ったことのあるモンスターに、擬態する性質のあるモンスター。
しかし所詮は擬態であるため、本物よりは弱い。
擬態によって相手が怯んでいる隙に、逃げていくのが基本だ。
その性質上、謎が多いモンスターでもある。
解説だけを見るならば、なんということもない雑魚。
しかし本体のステータスは、こうなっていた。
名前 ナンバー128
種族 ホワイトクラウド
レベル 3
HP 15280/15280
MP 0/0
筋力 13500
耐久 15280
敏捷 13800
魔力 10900
習得スキル
高速再生LV2 78/150 斬撃耐性LV4 0/3000
打撃耐性LV2 0/150 刺突耐性LV2 0/150
炎熱耐性LV2 0/150 冷属耐性LV2 0/150
エクストラスキル
◆解説・テルディス・ラーニング。
一定以上のダメージを受けた際、相手の攻撃を
一度受けた攻撃は完全に覚え、再び食らっても軽く耐え切れるようになる。
レベル自体は低いのに、スキルの補正ですごいことになっている。
オレの手元にいるのは、こんな感じだ。
名前 ナンバー128
種族 ホワイトクラウドの欠片
レベル 3
HP 8280/8280
MP 0/0
筋力 9500
耐久 12280
敏捷 9800
魔力 9900
習得スキル
高速再生LV2 77/150 斬撃耐性LV3 0/750
打撃耐性LV2 0/150 刺突耐性LV2 0/150
炎熱耐性LV2 0/150 冷属耐性LV2 0/150
エクストラスキル
なし
エクストラスキルを持っていないのは、スキルを構成しているコア的な部分が入っていないのが原因と思われる。
再生する前としたあとで、4000近くステータスが異なっているのも驚異的だ。
オレが『食べるだけでレベルアップ』のチートなら、こいつは『やられるだけでレベルアップ』のチートモンスターだ。
ステータスもヤバい。
オレ ホワイトクラウド
レベル 1491 3
HP 12553/12553 15280/15280
MP 11644/11644 9000/9000
筋力 11361 13500
耐久 11312 15280
敏捷 11279 13800
魔力 10812 13900
スキルの違いはあるものの、ハッキリ言って格上だ。
ロロナが逃げろって言うのも無理はない。
が――。
オレは手元の、ホワイトクラウドを食べた。
するりと口の中に入ってとろける。
てれれ、てってってー。
レベルがあがる。
レベル 1491→1494
HP 21553/21553(↑9000)
MP 16644/16644(↑5000)
筋力 21361(↑10000)
耐久 21312(↑10000)
敏捷 21079(↑9800)
魔力 20712(↑9900)
習得スキル
高速再生LV2 77/150
斬撃耐性LV3 0/750 冷属耐性LV2 0/150
打撃耐性LV2 0/150 刺突耐性LV2 0/150
上昇スキル
炎熱耐性LV3 52/750(↑50)
一瞬で逆転だぜぇ!!
テンションのあがったオレは、高いテンションのまま新しい技を必殺技を放った。
「必殺――高いステータスでのゴリ押しアッパー!!」
すごい硬くなった敵は、軽く砕けて吹き飛んだ。
空中で、再生を始めようとするが――。
「燃え尽きろ! 火炎放射レベル6!!」
最大火力の火柱が立った。
レベル4で達人と言われる世界での、レベル6の火炎放射だ。
それはホワイトクラウドの体を飲み込み、空にまで登った。
黒い鎧も意味をなさない。
強かった敵は、コアだけ残してかき消えた。
オレは残った輝くコアを、がぷりと食べた。
げんこつセンベイとでも言うべきか、ガリガリとした触感と塩っ気があった。
てれれ、てってってっー。
レベルがあがる。
レベル 1494→1495
HP 20833/20833(↑0)
MP 20644/20644(↑9000)
筋力 20861(↑0)
耐久 23592(↑0)
敏捷 21079(↑0)
魔力 20712(↑0)
戦闘能力のないコアであったせいだろう。
MP以外が、まったくあがってくれていない。
が――。
習得スキル
すごいスキルをゲットだぜっ!!
「えっ……?」
剣を構えていたロロナが、ぽうっと呆ける。
「どうした?」
「今のモンスターは、かなりの強敵であったと思うのだが……」
「オレが相手した中だと、ニワトリ四天王の白虎以来の強敵だったな」
「……!」
ロロナは、くうッと歯噛みした。
なにを考えているのかは、とっても、とってもよくわかる。
なんと言っても、フェミルの時と同じパターンだ。
しかしロロナは、フェミルと違って生意気だ。
それなので、オレは思わず言ってしまった。
「『助けてもらった恩義は返す!』」
「はぐっ!」
「『だから早く逃げるのだ! コサカイケーマ!』」
「ふあっ……」
「『ここはわたしが、命に代えても引き止めるっ!!』」
「ふわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」
ロロナは頭を抱えると、その場にぺたりとうずくまった。
「すまなかったぁ! わたしがわたしが悪かったあぁ!!」
オレは剣を素振りした。
初めて会った日のロロナを思い返しながら言う。
「フン……。できるか?」
「くっ……殺せぇ! いっそ殺せえぇ!!!」
ロロナはオレの腰元にすがりつき、泣いて頼んだ。
フハハハハ。
いろんな意味で、完全勝利!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます