エピソード20「交渉」

エピソード20「交渉」

条件のすり合わせが行われている。皇国はソビエト案の最初の一条以外は内政干渉としてはねのけた。要塞の取り壊しは各国のパワーバランスを考えての協議の上ならという条件付きで賛成、軍備禁止区域は全面賛成をした。他方対日大同盟諸国も賠償金の減額と戦利艦艇の廃止を求めた。ただそれ以外の点は概ね合意した。けれどソビエトはオスマンへのセヴァストポリ要塞の返還は拒否した。オスマン代表は逆にそれを絶対条件とした。皇国も同盟国であるオスマンの味方をしないわけにもいかない。モロトフスキーは反対を繰り返したがアメリカのハルは特にソビエトのセヴァストポリ要塞の喪失がアメリカにとって損でもなく、かつ早めに講和してアメリカに対するメディアのバッシングを避けるためにもモロトフスキーを説得した。この説得によって再び講和会議は中断するはめになった。

モロトフスキーは粛清を覚悟してセヴァストポリ要塞の割譲を認めた。ただし反対に見返りとして戦前皇国と領土紛争を繰り返していたエトロフ宙域を要求した。ヒトカップ軍港があるエトロフ宙域は皇国の対ソ戦線の前線基地である。皇国は上下カラフト恒星系をソビエトに渡すという代案を出しエトロフ宙域割譲を拒否した。ソビエトはそれを受諾した。後は賠償金額のみだがこれで再び2ヶ月も会議が停滞してしまった。この戦争が事実上の皇国の勝利であることは疑いようがないが文字通りの総力戦になれば双方の受けるダメージは計り知れないものとなる。皇国は四カ国からそれぞれ五兆円の減額を最低条件として提示した。対する諸国は支払いを二十年とすることを条件に受けると告げた。皇国もこの条件をのみ四ヶ月に及んだ停戦交渉は終わりを告げ対日大同盟も解消された。ドーマエはこの交渉で特に何もせずに外交というものの難しさを学んだのみであった。

こうしてなんとか宇宙に平和が訪れることとなった。

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