エピソード24「空母」
翌日、0845に接触予定地点についたゲンブの戦闘指揮所でドーマエは報告を待や皇軍大演習に狙いをつけて訓練する。そこで本艦搭乗員が大きな成果を上げることを期待する。後で幹部は幹部顔合わせを会議室で行う。夕食の後だ。では、分かれ。」
「分かれます!」
敬礼した搭乗員が端末に送られた各自の部屋番号を確認して去っていく。
ドーマエは夕食後に幹部会議を行うために会議室に入った。既に全員揃っているようだ。キヨタが敬礼と言いかけるのを制す。
「敬礼は不要だ。よし、幹部は全員来ているな。今回は顔合わせが目的だ。念のため出席をとりたい。では、キヨタ中佐。」
「はっ!出席を確認します!」
そう言うとホログラムを出して名前を呼び始めた。
「飛行隊長兼雷撃隊隊長トモナガ少佐。」
「はっ!」
飛行服の男が返事をする。
「爆撃隊隊長、セキ大尉。」
「はい。」
こちらも飛行服である。
「戦闘機隊隊長、フルサワ大尉。」
「はい。」
フルサワも飛行服だ。
「偵察隊長、イケダ中尉。」
「はい。」
こちらもやはり飛行服だ。
「機関長、イシカワ少佐。」
「はい。」
イシカワは作業着で出席している。
「医務班長、イナバ中尉。」
「はい。」
彼は白衣を着ている。
「生活担当長、イマイ中尉。」
「はい。」
こちらは白い軍服だ。
「航海長ホシ少佐。」
「はい。」
「高射長、カラタニ大尉。」
「はい。」
「電子長、アサノ少佐。」
「はい。」
以上三名も白い軍服に身を包んでいる。
「全員出席です。」
キヨタの報告にドーマエは頷いた。
「では、会議を始める。」
全員がドーマエに注目した。
「まずは、本艦の当分の目標は一月後の皇軍大演習において優秀な成績を収めることである。そしてきたるべき次の戦争に備えたい。」
「なるほど、しかし艦長、次の戦争というとななんのことですかな?」
イシカワ機関長だ。
「ああ、対日大同盟各国は艦隊を集めて合同演習を行っている。更に宇宙情勢は非常に不安定だ。いつ戦争が起きてもおかしくはない。今みたいな平和な時というのは後の戦争に備える期間だからな。ありとあらゆる状態に対応せねばならない。カナダが我らに組みしたとはいえ第二方面艦隊が軍務から解放されたわけではない。いつ戦争が起きてもいいように備えねばならない。この間までの戦争で多数の熟練兵を皇軍は失った。それは航空機の搭乗員も、又艦船勤務の奴も全てひっくるめてだ。その損害を埋めるためにも航空機搭乗員の練度の底上げは急務だ。早急にとりかかりたい。私は航空機に疎いので皆の力を貸してくれ。」
全員が食い入るようにドーマエを見ていた。ドーマエが話終わると力強い返事が会議室に響いた。そのあとは簡単な確認をして、幹部会議はお開きとなった。
翌朝からゲンブの乗組員は猛訓練を重ねた。戦闘機隊はこの間の戦争でエースパイロットとなった多数の熟練搭乗員が若手を指導し、更に熟練パイロットと新米でバディを組ませる等の工夫を行った。複座の艦爆も新米の操縦士とベテラン爆撃手、若しくはその逆で組ませてひたすら爆撃訓練を繰り返した。艦攻は編隊雷撃に重点を置いて、ベテラン艦攻乗りのトモナガ少佐が自ら指導した。そして偵察隊は特別な秘密訓練を受けた。おかげでゲンブの攻撃力は格段に上がったといえよう。防御でも高射長とドーマエで高射部隊を鍛え、操舵技術も向上させた。熟練搭乗員にしか扱えないと言われていた零戦も気がついたら全戦闘機乗りが操っているのである。そして遂に皇軍大演習の為に第二方面艦隊も出港した。
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