第41話 翼人と龍とその5

「龍よ!ガラスの龍よ!」


遠くからかすかに呪文が聞こえてきた。


「龍涎香はここぞ。来たれ。われも参るぞ」


ビュー!


空からの風が強くなってきた。ダイヤモンドは、大きな木にしっかり歯を立ててしがみついた。


その時、龍涎香を持っていた少年の背中から真っ白い翼が広がった。


翼人つばさびと?ママに聞いたことある。


翼人は翼をはためかせて空に上っていく。


空からは透き通ったガラスの龍が、降りてくる。


両者が重なりあったあと、雷鳴が響き、どこかに雷が落ちて空には稲光以外何もみえなくなった。


「ダイヤモンド!こんなところで何をしているの?」


なずなの穏やかなの声がちょっといらだっていた。そのかたわらには、瞳を煌めかせているアレキサンドライトがいた。


「僕、すごいもの見ちゃったの! 龍と翼人なんだもん。それにねー・・・」


「待って、屋敷に入りましょう。雨が来そうだわ」


「うん、行こう!いっぱいお話したいことあるだ」 

 

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