第40話 翼人と龍とその4

ダイヤモンドが中庭をかけて屋敷の中枢に向かう。屋敷はのの字形に建物があって屋敷の中枢に行くには中庭を抜けると近道なのだ。


しばらくかけてると、ロープに手足を縛られた13、4歳くらいの少年が月明かりに見えた。 


「どうかしたの?」


「火急の用でなずなさんに会いに来たけど、泥棒に間違われてしまったんです。。ロープを解いて下さい」


目にかかる長さの黒髪で黒眼の少年はダイヤモンドに頭を下げる。


「ごめん!ロープ解けない。僕、無垢な乙女にしか近寄れないんだ。そだ、火急の用って?どういう意味?」


「火急の用とは、緊急の用のことです。お宅のマジックドア製の人型お手伝いロボットたちが、行方不明になっているんですよ」


「うん、知ってる。家のロボットのナンシーも出て行っちゃったよ。僕はそれをなずなに伝えにいくとこなんだ」


「3分ほど、時間もらえますか?ちぃにロボット達を見つけさせますね!僕のバックの右ポケットから竜涎香りゅうぜんこうを取り出して下さい」


「いいけど、ちぃって誰?竜涎香って?」


「竜涎香は石のようなものです。ちぃは見ればわかります。事態は一刻を争うんです。お願いします!」


事態は一刻を争うって何かな?


ダイヤモンドは思ったけど、少年の勢いに押されて少年のバックから竜涎香を歯で取り出した。


「それを僕の手にのせてください」


少年は、さいわい身体の前で手を縛られていた。


ダイヤモンドが口から少年の手におとす。


「あの木の向こうに離れて下さいな。呪文を唱えたら、ちぃが来ます」


「遠くない?」

 

ダイヤモンドは首を傾げる。


「ちぃは、龍なんです」


「え?じゃ離れるね」

 









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