2-3


「まっ、そうじゃろうな」


 俺の人生をした、苦渋の決断を聞いた祖父ロボが、ニヤリと笑う。


 まるで、最初から俺がそう答えることが分かっていたかのような、余裕綽々な態度である。ちくしょう。


「それで、他に聞きたいことはないのか?」

「あー……、うん、それじゃあ、昨日の正義の味方について、説明してくれる?」


 かなり取り返しのつかない選択をしてしまった気がするが、後悔してももう遅い。


 俺は、なんとか、なんとか気を取り直して、改めて祖父ロボに、気になっていたことを尋ねてみた。多少投げやりになってしまっているのは、ご愛敬である。


「なんだっけ、なんとか戦隊マジカルなんとか……、とか言ってたけど」


 なんとかだらけで恐縮だが、昨日の出来事について、俺の中では、最後の方になると、もう度重なる心労とストレスで意識も朦朧としていたので、記憶が曖昧なのだ。


「マジカルセイヴァーじゃよ、マジカルセイヴァー。正確には国家こっか守護庁しゅごちょう所属しょぞく地域ちいき防衛ぼうえい戦隊せんたいマジカルセイヴァーじゃな」

「あぁ……、そうそう、なんか舌噛みそうな名前だと思ったんだよね」


 この妙に長い名称を、あの謎の五人組が見事にハモっていたことは思い出した。

 やっぱり、名乗りの口上は、全員で練習とかするんだろうか?


「でも、国家守護庁?」


 一応人並みの勉強はしているつもりだが、そんな名前の省庁は、まったく聞いたこともなかった。俺の不勉強なのかもしれないけど。


「お前は……、と言うより、普通は知らんじゃろうな。国家守護庁は、その存在を一般には完全に秘匿されとるしの。いわゆる政府の秘密機関、というやつじゃよ」


 秘匿された政府の秘密機関って、そんな馬鹿な……、と一瞬思ったが、そもそも、今の俺自身が、悪の組織の総統なんて、そんな馬鹿な状況真っ只中にいるので、なにも言えない。


「悪の組織の存在を表沙汰にしないためにも、それに敵対する者たちもまた、表には出られない……、って感じかの。存在しないものに対する機関なぞ、それこそおおやけに存在できるわけがないからのう」


 悪の組織が、世間一般に認知されてない以上、その誰も知らない悪の組織と戦っています! なんて言われても、誰も信じない、ということだろうか?


 まぁ、悪の組織の存在を世間から隠しているのは、どうもその戦ってる張本人たちということらしいので、本人たちからすれば、望むところなのだろうけど。


「というか、やっぱり国も秘密にしたいんだな、悪の組織……」

「それはそうじゃろ。国内で好き勝手暴れられとるのに、まったく鎮圧すらできんのじゃからな。国民の不安を無駄に煽るのを防ぐ、という建前もあるじゃろうが、単純に面子が保てんのじゃろう」


 祖父ロボは、市民の安全より自分たちの面子を優先する体制について言及するが、俺としては、その前の言葉の方が気になった。


「まったく鎮圧できんって……、それは悪の組織の方が、正義の味方より、パワーバランス的には強いってことか?」

「そこら辺はちょっと複雑なんじゃがな……、うーむ……、悪の組織も複数存在するという話は、前にもしたじゃろ?」

「あぁ、その話なら、確かに聞いたよ」


 確か、悪の組織は沢山あって、しかも悪の組織同士で競い合って、群雄割拠だとかなんとか……。


「そんな数多ある悪の組織の中でも、トップクラスの力を持った、最大規模の勢力には、実はそれ単体で、国家守護庁を打ち倒せるだけの武力を持った組織が、幾つか存在する。まっ、うちも、その一つじゃがな」


 自慢げに胸を張る祖父ロボだが、俺としては、やはり疑問も残る。


「つまり、やっぱり悪の組織側の方が、総合的に強いってことだろ? でも、それならどうして、その国家守護庁っていうのは、悪の組織の隠蔽いんぺいなんてできるんだ? 抑えきれないだろ、色々と?」


 そこまで戦力的な差が、如実に存在するのなら、鎮圧は当然だが、存在の隠蔽すら不可能な気がするのだが、しかし現実には、悪の組織の存在は、世間には完全に隠蔽されている。


 実際俺自身も、こうして直接巻き込まれるまでは、そんな突拍子もないものが実在するなんて、微塵も信じていなかったわけで。


「確かに、ワシらがその気になれば、国家守護庁を倒すことは可能じゃろう。だが、それは決して楽勝じゃとか、そんな簡単な話ではない。死力を尽くして……、それこそ、こちらの方が倒れるかもしれんリスクを負った上で、勝てるかどうかは、ようやく五分と五分……、くらいの感じじゃな」


 なるほど……、つまりこのヴァイスインペリアルが総力を挙げて戦って、ようやく正義の味方全てを倒せるかどうか、って話しなわけだ。


「……それでも、そんな組織が、複数あるんだろ?」

「あるよ? あるが、ここから悪の組織の面倒臭さが出てくるわけじゃな」

「面倒臭さって……」


 まぁ、自分たちを悪の組織だなんて名乗ってる奴らは、そりゃ面倒臭いだろうが。


「悪の組織なんていうのは、どいつもこいつも、自分こそが世界の王になる! と主張しとるような連中じゃからな。自己主張が強すぎて、本当の意味での協力関係を結ぶなど、そう簡単にはできん。だから、群雄割拠と言うたじゃろ? 下手に隙を見せれば、後ろから刺されるだけ、というわけよ」


 どうやら、悪の組織の世界ってやつは、随分とバイオレンスなようだった。

 ……いや、まぁ、悪の組織なんだから、当然と言えば当然なんだろうけど。


「……つまり、いつ他の悪の組織と戦うことになるかもしれない状況で、死力を尽くして正義の味方を倒しても、その後、自分たちが弱ったところを別の勢力に狙われるだけだから、悪の組織同士は、お互いに牽制し合って、正義の味方に積極的に手を出すことはないってこと?」

「まぁ、そういうことじゃの」


 それを聞いて、俺は少しだけ安心する。正直なことを言えば、国家権力に正面から立て付くような状況は、勘弁してもらいたかったからだ。


 何度でも言うが、俺はただの小市民である。


「だが、そうは言っても、国家守護庁の方から、我々の活動を邪魔してくれば、それはもちろん、迎撃するがの。今はまだ、互いに死力を尽くして闘うような状況ではない、というだけじゃし」

「邪魔って?」


 邪魔とか言ってしまうと、まるで子供の喧嘩みたいだが、これはあくまでも、悪と正義の戦いの縮図の説明なのだ。俺は一応、真剣に祖父ロボの話を聞く。


「これ以上悪の組織が力を付けたり、組織間のバランスが崩れて、どこか一強になるのは、向こうとしても望ましくないじゃろうからな。現場レベルの活動を妨害し、勢力が過度に大きくならんように牽制したり、最近じゃと、結成したばかりの小さな悪の組織を、まだ大きくなる前に潰したりするのにも、随分と精力的なようじゃな」


 小さな悪の組織……、と聞いて、俺はふと、思い出した。

 今の今まで、すっかり忘れていた。


「そういや……、えーっと、あれだ、牛、牛の人たち。あいつらも結局、悪の組織だったんだろ? 昨日は、あのまま置いてきちゃったけど、あいつらって、あれから一体、どうなったんだ?」

「あぁ、あのアホ共か。そうじゃな。そこら辺は、実際に見た方が早いじゃろう」


 祖父ロボがそう言ったかと思うと、社長室の窓がシャッターで全て閉じられ、真っ暗になる。そして、天井から大きなスクリーンが下りてきて、そこに本日のニュースが映し出された。


「それでは、次のニュースです。本日未明、建築会社ブラウンモウ社長、田浦たうら墨太郎すみたろう氏とその部下が、威力業務妨害、暴行罪、建築物損壊罪などの容疑で逮捕されました。本人は容疑を認めており……」


 そこに映ったのは俺たちにボロクソに敗北した悪の組織……、確か、ブラウンバイソンとか名乗っていた男たちの末路だった。


「あー、なるほど……」


 どうやら、昨日気絶してからそのまま、マジカルセイヴァーの皆さんに捕まったようだ。ついでに、俺たちが行った破壊活動の罪まで、全部被らされている。


「まっ、こういう風に世間には、本当のことを知らせず、そっと処理するというわけじゃな。やつらは事態の終息と隠蔽を優先するから、上手く使えばこのように、ワシらのやったことまで、勝手に処理してくれるから、楽なもんじゃわい」


 祖父ロボがそれだけ言うと、スクリーンに映っていたニュースが消え、代わりにマジカルセイヴァーの写真が映された。


「さて、これがワシらの地区を担当しとる実働部隊、正義の味方マジカルセイヴァーなんじゃが」

「地区を担当?」

「あぁ、国家守護庁には、幾つもの戦闘チームが所属しておってな、それぞれが別の地域や地区を担当して、活動しとる」

「正義の味方も、沢山いるんだ……」


 まぁ、悪の組織が乱立してるんだから、当然と言えば当然か。

 あのたった五人で、全国規模で対応するなんて、どう考えても不可能だし。


「マジカルセイヴァーは五人組のチームじゃな。正式な個人名は分からんから、ワシらはその衣装の色で識別、呼称しとる。それぞれが、マジカルピンク、レッドに、ブルー、グリーン、イエロー、というわけじゃな」


 祖父ロボが名前を上げる度に、スクリーン上では、その正義の味方を個別に捉えた写真を次々に映していく……、のだが。


「ピンクがリーダーじゃな。オールラウンダーで、その統率力は侮れんぞ。レッドは近接戦闘を好み、ブルーは後方からの射撃、グリーンが全体的な防御を担当して、イエローが状況に応じ、それぞれのフォローを行う、といった感じかの。なかなかバランスの取れた、良いチームじゃぞい」


 祖父ロボはマジカルセイヴァーのメンバーについて、それぞれ説明を始めるが、俺としては、それよりどうしても、気になることがあった。


「なぁ、じいちゃん。その写真……、なに?」


 そう、写真、写真である。

 

 俺がさっきから気になって仕方がないのは、先ほどからスクリーンに大写しにされているマジカルセイヴァーの写真……、正確には、その写真に写っている、それぞれのメンバーの顔、だった。


 首から下は、普通に写っている。問題は、顔だけだ。

 顔だけが、モザイク処理されたようにぼかされ、その識別ができなくなっている。


 まるで、出来の悪い心霊写真のようだと、そう思った。


「なんでモザイク? 悪の組織が、正義の味方のプライバシーを保護してんの?」

「そんなわけあるかい。ワシらは、なんの加工もしとらんぞ」

「いや、それこそ、そんなわけあるかい。普通に写真を撮っただけで、こんな風にはならないだろ」


 チラリと見ただけで、しっかりと顔を確認したわけではないが、そんな超常現象が起きていれば、幾ら俺が疲労で朦朧としていたとしても、流石に気付くはずである。


「あぁ、それなら多分、正体がバレるのを防ぐための、まじないか何かじゃろう」

「まじないって……」


 まじない、まじない、おまじない。


「ほれ、例えばうちなら、そこに転がっとるマリオ君にもかかっとるじゃろ? あの認識を改変する魔術みたいなもんじゃろう。直接顔を確認する分には、少なくとも普通の顔に見えとったし、おそらく直接目撃された時と、別媒体を介した時とで、別の効果が出るようになっとるんじゃろうな」


 そんな非科学的な……、と言おうとして、俺は止めた。非科学的なものなら、昨日散々、この目で見てきたではないか。 


「……つまり、面と向かえば、顔はちゃんと見えるんだな」


 確かに、ぼんやりとした記憶ながら、俺が昨日見たマジカルセイヴァーは、素顔を晒していた気がする。しかも、みんな結構可愛かったような……。


「まぁ、幾ら顔が見えていても、それを手がかりに正体を探るのは、まず不可能なんじゃがな。推測になるが、うちの最高幹部と同じように、変身前の姿と、変身後の姿がいくら似ていても、脳内で同一人物だと結び付けられなくする……、くらいはしとるじゃろうし」


 顔が見えているなら、正体も分かるのでは? という俺の疑問を、先手を打つように封殺してしまった祖父ロボだが、それを聞いて、俺の脳内には、また新たな疑問が浮かぶ。


「あれ? うちの最高幹部と同じって……? 俺、普通に、変身する前と後のみんなが、同じ人だった分かるんだけど……」


 というか、他の二人と違って、マリーさんなんて、変身前と変身後の違いが、あの大きな機械を背負ってるかどうかくらいしかないんだけど。


「味方にまで正体隠す必要はないからの。ちゃんとフィルター設定しとるわい」


 あぁ……、それもそうか。

 味方まで変身前後の姿を同一視できないなんて、とんでもなく面倒だろうし。


 つまり、例えほとんど正体丸出しのマリーさんでも、無限博士ジーニアの時の格好と、普段のマリーさん時の姿、それを両方相手に知られたとしても、観測者は頭の中でその二つを結びつけることができず、正体はバレないということか。いや凄いな、その技術。


 だがしかし、なるほど。

 正体を隠すため、というならそれも納得である。


 こういう活動をしてる者の正体がバレることのリスクは、俺でも簡単に想像がついた。厳重にそれを防ごうとするのは、ある意味当然だろう。


「一体どんな仕組かは分からんが、マジカルセイヴァーの使っとるのは、かなり強力な効果のまじないのようじゃな。こうして写真にまで、露骨な影響を与えるなんぞ、相当なもんじゃて」

「仕組みが分からないって、それって、魔術じゃないのか?」

「魔術かもしれないが、それ以外かもしれない……、という話じゃな。まじないなんて言ったのも、それがなんなのか、よく分からないからじゃ。統斗すみと、この世界にはお前が思う以上に、超常的な力が満ちてるんじゃぞ?」


 祖父ロボが、なんだか面白そうに、とても楽しそうに、笑ってみせた。


「まぁ、さっきも言ったが、今はワシらの方も、正義の味方と本格的にやりあうつもりは無い。他にやるべきことが、山ほどあるからの。じゃから、マジカルセイヴァーの正体を探ることの優先順位も低くてな。今まで、ろくに解析も行っておらんだけなんじゃがな」

「それでいいのか、悪の組織……」


 正義の味方の正体を探るなんて、結構重要そうなミッションだと思うのだけど、そんなことする暇もないくらい、悪の組織同士の抗争とやらが、激しいのだろうか?


「まぁ、確かに……、知る必要性は低いが、だかと言って、知らんでいいと言うわけでもない、か……」


 祖父ロボは少し思案すると、なにか思いついたのか、悪戯小僧のような表情でこちらを見てきた。


 なんだろう。嫌な予感がする。


「そうじゃな……、統斗、お前ちょっと集中して、マリオ君の方を見てみぃ」


 俺は素直に祖父ロボの言葉に従って、部屋の隅に転がっているマリオ君を、じっと見つめる。


 あの表情をした祖父には、なにを言っても無駄だと、祖父が生きていた頃の経験から、俺にはもう、嫌と言うほど分かっていたからだ。


「うーん……?」


 祖父ロボに言われるがままに、部屋の隅で無造作に転がってるマリオ君を見つめてみるが、例の認識を改変する魔術とやらのおかげで、正直もう本当に、俺にはどう見ても人間にしか見えないので、ぶっちゃけ気持ち悪い……。


 部屋の暗さも相まって、その様子は軽くホラーだった。


「ほれ! もっと集中してみぃ!」


 祖父ロボに尻を叩かれるようにして、俺は更に集中を深めていく。

 じっと、それこそ穴が開くほど真剣に、マリオ君を見つめることだけに没頭する。


 しかしそれでもマリオ君は、俺の眼には、どう見ても人間にしか……、人間に、人間、人間に……?


「……あれ?」


 徐々に、本当に少しづつだが、俺はマリオ君のことを、人間とは思えなくなってきていた。


 確かに精巧な作りだが、人間としての生命力が薄れていき、どんどん無機質な人工物に見えてくる。


 いや、マリオ君が人形だということは、元々分かっているのだけども。


「前にも言ったが、お前はもうすでに、命気プラーナに目覚めておる。そして命気を使えるということは、人智を超えた超感覚を発揮することができるはずじゃ」

「超感覚……」


 祖父ロボの説明を聞き流しながら、更に感覚を研ぎ澄ますことで、今や俺の目に映るマリオ君は、もうすっかりただの人形になってしまった。


「超感覚によって、魔術による妨害を飛び越えて、対象の本質を捉えることに成功した、というわけじゃな」


 そう言えば、前回この部屋で、千尋ちひろさんがマリオ君に向かって、眼で見るだけなら人間にしか見えないと言っていたことを思い出す。


 眼で見るだけなら……、逆に言えば、眼以外を使うことで、マリオ君の本当の姿だって見ることができる、ってことか。


「超感覚とは、そのようにあらゆる妨害を乗り越えて、物事の本質を見抜く力があるんじゃ。まぁ、今のお前では、かなり集中しないと難しいじゃろうがな」


 祖父ロボが俺に超感覚の簡単な説明続けながら、再びスクリーンに、例の顔が見えないマジカルセイヴァーの写真を映し出した。


「ほれ、その集中を保ったまま、こっちを見てみろ」


 俺は言われるがままに、マリオ君からスクリーンへと視線を移す。


 そして俺の超感覚が、その写真の本質を捉え、隠匿されたマジカルセイヴァーの素顔を、素顔を、素顔……、す、す……、素顔を?


「あれ?」


 素顔が、見えない。


 写真は、さっきまでとなにも変わらず、出来の悪い心霊写真状態のままだ。俺の集中が途切れたのかと思い、再びマリオ君を見直してみるが、そちらは今も、ただの人形にしか見えない。


 あれ?


「どうやら、写真になんらかのまじないがかかっとるわけじゃなく、写真のネガそのものを、物理的に変質させるたぐいのまじないだったようじゃな」


 超感覚でいくら本質を捉えても、すでに本質そのものが変質してしまっているために、どうやらこの写真では、いくら穴が空くほど見つめても、マジカルセイヴァーの素顔は分からないようだ。


 実際に、直接対面してみれば、直に見さえすれば、なにか違うのだろうか?


「まっ、見えたら儲けものくらいの軽い思い付きじゃったから、あんまり気にせんでええぞい。どちらかと言えば、お前の超感覚を試したかっただけじゃから、そっちの意味では成功しとるし」


 マジカルセイヴァーの正体を掴むことに失敗した俺を、祖父ロボが慰めてきた。


「それに、お前の超感覚で素顔が見えても、そもそもお前自身がマジカルセイヴァーの正体を知らなければ、あんまり意味ないんじゃからの」

「……あっ」


 そう言われてみれば、そうである。


 超感覚を使い、認識への妨害を飛び越え、変身前の姿と変身後の姿を頭の中で結び付けることができても、そもそも結ぶ付けるべき普段の姿の方を知らないことには、どうしようもない。


 というかそもそも、超感覚を使うだけで正体が分かるなら、俺より優れた超感覚の使い手である千尋さんが、すでにこの問題は解決していることだろう。



 正義の味方の正体を知るということは、なかなか大変なことなのかもしれない。





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