第12話 勝利のリザルト! 決戦のマジカルセイヴァー!

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 突然だが、皆さんは勝利について、一体どうお考えだろうか?


 勝利。

 あぁ、なんと甘美な響きだろうか。


 自らの強さを、自らの正しさを、自らの優位を、自らの力を。

 相手を倒し、破り、制し、打ちのめし、叩き伏せることで、証明する。


 勝利。

 それを掴んだ者こそが、栄光の光を浴びることを許され、全てを手にする。


 勝者には栄誉を、敗者には死を。

 勝利と敗北には、天と地ほどの差があり、まさに天国と地獄、光と影。


 勝利こそが至上であり、敗北は悔恨かいこんだ。

 勝利こそが絶対であり、敗北は絶望だ。


 勝利こそ、栄冠。

 勝利こそ、賛美。


 勝利こそ、全てだ。



 だがしかし、それでも決して忘れてはならないことが、一つだけある。


 勝利の美酒に酔っ払い、極上のアドレナリンに溺れ、夢見心地の天国を漂ってもなお、決して忘れてはならないことが、一つだけ。


 それは、それでも勝利とは、、ということだ。


 例え、世界中が羨むような、煌びやかな勝利を飾ったとしても。

 例え、宿命の相手と、決定的な決着をつけたとしても。

 例え、全人類を救うような、運命的な活躍をしてみせたとしても。


 それで全てが終わったわけではない、ということだ。


 劇的な勝利を収めたその後も、人生は延々と続いて行く、ということだ。


 勝負が決したその瞬間、確かに勝利こそが、全てなのかもしれない。


 しかし、後から振り返ってみれば、その勝利こそが、全ての元凶だったと、後悔することすら、ありえるのかもしれない。



 勝利とは、結果であって、決して結論では、ないのだから。



 これは、俺と、悪の組織と、正義の味方と、――勝利の話だ。


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