概要
「それは、安すぎませんか?」笑われるはずが、港一の船主が毎月通う。
離縁された。夜ごと屋根に上がって、空を見ていたからだ。
「星を眺めて金になるか」
五年連れ添った商家の主人は、そう笑った。奉公人も残らず笑った。
浦上澪。祖母が残したのは、丘の小屋と、空を見る目だけ。
儲かる日は読めない。読めるのは、出したら濡れる日だけだ。
港町の汐見へ移り、坂の下の掲示板に日付を貼りはじめた。
貼るのはただ。お代は、船を止めた日にいただく。
言われたとおり一日ずらした船だけが、乾いたまま帰ってきた。
次の朝、坂の下に船主が九人並んだ。
ところが、出すなと貼った日に、船が三隻出ていった。
わたしを笑った、あの人の船だ。
三隻とも乗り上げて腹が割れ、反物は八百反そっくり海へ消えた。
「なら話は早い。──戻ってこい」
隣町でいちばん大きい店も、言い値で買うと言ってきた。
「星を眺めて金になるか」
五年連れ添った商家の主人は、そう笑った。奉公人も残らず笑った。
浦上澪。祖母が残したのは、丘の小屋と、空を見る目だけ。
儲かる日は読めない。読めるのは、出したら濡れる日だけだ。
港町の汐見へ移り、坂の下の掲示板に日付を貼りはじめた。
貼るのはただ。お代は、船を止めた日にいただく。
言われたとおり一日ずらした船だけが、乾いたまま帰ってきた。
次の朝、坂の下に船主が九人並んだ。
ところが、出すなと貼った日に、船が三隻出ていった。
わたしを笑った、あの人の船だ。
三隻とも乗り上げて腹が割れ、反物は八百反そっくり海へ消えた。
「なら話は早い。──戻ってこい」
隣町でいちばん大きい店も、言い値で買うと言ってきた。
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