概要
死の床にある奈津は美登利を殺した連続切り裂き殺人犯にたどりつけるか?
「源之助さんに聞いた話だけど、ロンドンの貧民窟で、喉を切られ下腹を裂いて内臓を取り出して娼婦が十人ほど殺された同一犯による連続殺人事件があった。二十年から経つけど犯人はまだ見つかっていない」
(19)
それから何事もなく季節は移ろっていったが、八月も終わろうかという日の宵の口、四谷の天龍寺裏の貧民窟から火の手が上がった。
天龍寺裏のあばら家が入り組んだ街は、四谷区では鮫ケ橋の貧民窟とちがって、大道軽業や辻三味線などの芸人とその家族が多く住む貧民窟で知られている。
火は天龍寺の寸前で消し止められたが、吉原などの年季明けの私娼が細い蝋燭が燃え尽きる短い間、帯も解かずに客の相手をする私娼窟が焼け落ち、吉野という私娼が焼け死んだ。
(17)
「蝋燭が燃え尽きるまでの時間でことを済ますので、窓から
(19)
それから何事もなく季節は移ろっていったが、八月も終わろうかという日の宵の口、四谷の天龍寺裏の貧民窟から火の手が上がった。
天龍寺裏のあばら家が入り組んだ街は、四谷区では鮫ケ橋の貧民窟とちがって、大道軽業や辻三味線などの芸人とその家族が多く住む貧民窟で知られている。
火は天龍寺の寸前で消し止められたが、吉原などの年季明けの私娼が細い蝋燭が燃え尽きる短い間、帯も解かずに客の相手をする私娼窟が焼け落ち、吉野という私娼が焼け死んだ。
(17)
「蝋燭が燃え尽きるまでの時間でことを済ますので、窓から
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