概要
窓の外はいつも海。まだ、その水に触れたことはない。
カナの部屋の窓には、いつも海がある。朝は青く光り、夕方には橙色に染まる。母は毎朝カーテンを開けながら「今日も綺麗だね」と言う。「外に出たら、あの海に入れる?」と聞くと、母はいつも「もう少しよ」と答える。週に一度部屋を訪れるグエンは、海を見るときだけ、どこか懐かしそうな寂しい顔をする。ある夜、廊下から聞こえた母とグエンの会話をきっかけに、カナは自分の部屋を包む海について、初めて疑問を持ち始める。十歳の少女が窓の向こうの世界に気づいていく物語。