概要
任務は死なない葬儀屋の殺害。誤算は、恋をしたこと。
帝国の秘密工作員リゼットに下された任務は、敗戦国の辺境で葬儀屋を営む男、ヴァルターの調査だった。色白で昼間は眠ってばかり、棺を寝床にする彼には、吸血鬼ではないかという噂がある。冴えない中年男だと侮っていたリゼットだが、ヴァルターは彼女の尾行も盗聴も色仕掛けも、最初からすべて見抜いていた。しかも彼の正体は、かつて亡国を陰から救い続けた伝説の暗殺者。死者を悼み、生者を守る彼の優しさに触れ、リゼットは次第に心を奪われていく。しかし新たに届いた命令は、ヴァルターの殺害。逆らえば、心臓に刻まれた呪印によって彼女も、生き残った同胞たちも命を失う。任務と恋心の間で揺れるリゼットに、ヴァルターは静かに告げる。「君が生きるためなら、俺を殺せ」
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