概要
私を捨てた婚礼で楽器が沈黙――もう一音も無料では直しません
「古い楽器を直すしか能のない地味女は、王都一のサロンの顔にはできない」
伯爵令嬢エリゼーヌは、大勢の客の前で婚約者ベルトランから婚約を破棄され、華やかな歌声を持つ妹リゼアに居場所を奪われた。
彼女が三年間、家伝の十七台の楽器を無償で修復し、音楽サロンを陰から支えてきた事実ごと踏みにじられて。
家を出たエリゼーヌが次に任されたのは、壊れて音を失った王女の竪琴だった。
古い調弦ピン、傾いた響板、奏者の手に合わない弦。
失敗と試奏を重ねながら竪琴を蘇らせた彼女は、その技術を正式に認められ、王立楽団の修復師となる。
そんな彼女の仕事を最も厳しく見つめていたのは、戦時の爆音による耳鳴りと音過敏を抱え、「音楽嫌い」と呼ばれる宰相公爵オクターヴだった。
「選べない音が嫌いだ」
甘い慰めを口
伯爵令嬢エリゼーヌは、大勢の客の前で婚約者ベルトランから婚約を破棄され、華やかな歌声を持つ妹リゼアに居場所を奪われた。
彼女が三年間、家伝の十七台の楽器を無償で修復し、音楽サロンを陰から支えてきた事実ごと踏みにじられて。
家を出たエリゼーヌが次に任されたのは、壊れて音を失った王女の竪琴だった。
古い調弦ピン、傾いた響板、奏者の手に合わない弦。
失敗と試奏を重ねながら竪琴を蘇らせた彼女は、その技術を正式に認められ、王立楽団の修復師となる。
そんな彼女の仕事を最も厳しく見つめていたのは、戦時の爆音による耳鳴りと音過敏を抱え、「音楽嫌い」と呼ばれる宰相公爵オクターヴだった。
「選べない音が嫌いだ」
甘い慰めを口
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