概要
大魔法ほど、彼女の拳はよく通る
ロッタ・ヴェルクは、山ひとつ向こうの村から三日かけて王都へ出てきた。
目的は宮廷魔法学校の入学試験――ただし、受かるつもりはない。村のみんなが見送ってくれたから、記念に受けてみるだけ。
受付の〈階梯〉が彼女の魔力を測って、こう出た。
ゼロ。
嘲笑のなか始まった実技試験で、飛んできた炎の球に向かって、ロッタは革の手袋を外した。
「――いま、殴っていいですか?」
ぱん、と乾いた音がして、炎が消えた。
魔法は魔力で編まれている。魔力を持つ手は自分の魔力に弾かれて、編み目に指を入れられない。
だから、この世界でただひとつ魔法を素手で砕けるのは――魔力がゼロの手だけだった。
名門の令嬢が三十七を数えるあいだ組み上げた大魔法も、無敗と呼ばれる少年の最上級魔法も
目的は宮廷魔法学校の入学試験――ただし、受かるつもりはない。村のみんなが見送ってくれたから、記念に受けてみるだけ。
受付の〈階梯〉が彼女の魔力を測って、こう出た。
ゼロ。
嘲笑のなか始まった実技試験で、飛んできた炎の球に向かって、ロッタは革の手袋を外した。
「――いま、殴っていいですか?」
ぱん、と乾いた音がして、炎が消えた。
魔法は魔力で編まれている。魔力を持つ手は自分の魔力に弾かれて、編み目に指を入れられない。
だから、この世界でただひとつ魔法を素手で砕けるのは――魔力がゼロの手だけだった。
名門の令嬢が三十七を数えるあいだ組み上げた大魔法も、無敗と呼ばれる少年の最上級魔法も
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