概要
八年間育てた「息子」は、夫と初恋の女の子どもだった
結婚八周年の日、誠司は、私が何年も欲しいと言い続けていたホームプロジェクターを持ち帰ってきた。子供部屋から駆け出してきた悠斗は、私の腰に抱きつき、いつになく素直な笑顔を向けた。私たち三人が暮らしているのは、駅裏の古い木造アパートだ。広くもなく、冬になると窓枠の隙間から冷気が入り込んだが、それでも私は、いつか暮らしは楽になると信じていた。
「ママ、うちはまだお金に余裕がないけど、パパって本当にママのことが好きなんだね。ずっと欲しいって言ってたの、ちゃんと覚えてたんだ」
私は悠斗の頭を撫で、台所へ戻って用意していた料理を食卓へ運んだ。結婚記念日のために、普段は手を出せない和牛を買い、誠司の好物である牛すじの味噌煮込みも作った。食事の前にスマートフォンをプロジェクターへ接続すると、壁に映った
「ママ、うちはまだお金に余裕がないけど、パパって本当にママのことが好きなんだね。ずっと欲しいって言ってたの、ちゃんと覚えてたんだ」
私は悠斗の頭を撫で、台所へ戻って用意していた料理を食卓へ運んだ。結婚記念日のために、普段は手を出せない和牛を買い、誠司の好物である牛すじの味噌煮込みも作った。食事の前にスマートフォンをプロジェクターへ接続すると、壁に映った