概要
五年『稼ぎなし』と裁定された男の値打ちを、村のみんなが数え直す
セドは五年続けて『稼ぎなし』と裁定され、村を追い出された。行き先は、冬に人が死ぬと言われる峠の、崩れかけた避難小屋がひとつきり。
その晩、吹雪の峠で行き倒れの娘を拾った。人がどこから冷えていくかが分かる──村では何の役にも立たなかった体質が、峠では人を生かした。
望みは、この峠でもう誰も死なせないこと。それだけのはずが、助けた人たちが次々と戻ってくる。嫁入りのために織りためた反物を。蒔く土のない種籾を。二十年商いを量ってきた秤を。それぞれ、自分がいちばん手放せないものを抱えて。
断っても、置いていかれる。峠に杭が立ち、旅人が「峠の小屋へ行け」と言い交わし、役人の帳面に名前が載り──やがて、追い出した村までもが峠を上ってくる。
これは、袋にならない働きしか無かった男の値打ちが、ぜんぶ数え直される物語。
その晩、吹雪の峠で行き倒れの娘を拾った。人がどこから冷えていくかが分かる──村では何の役にも立たなかった体質が、峠では人を生かした。
望みは、この峠でもう誰も死なせないこと。それだけのはずが、助けた人たちが次々と戻ってくる。嫁入りのために織りためた反物を。蒔く土のない種籾を。二十年商いを量ってきた秤を。それぞれ、自分がいちばん手放せないものを抱えて。
断っても、置いていかれる。峠に杭が立ち、旅人が「峠の小屋へ行け」と言い交わし、役人の帳面に名前が載り──やがて、追い出した村までもが峠を上ってくる。
これは、袋にならない働きしか無かった男の値打ちが、ぜんぶ数え直される物語。
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