概要
言えなかった言葉が、紙の生き物になって逃げ出した。
夏休み直前の午後四時四十四分。時間と規則を大切にする図書委員の美奈は、古い図書室で『猿でもわかる! ことばの返しかた』という手作り本を見つける。本に残された「ありがとう」「ごめん」「行かないで」などの言葉は、持ち主へ返されないまま期限を迎えると、紙の小鳥やヤモリ、クラゲといった生き物になって逃げ出してしまう。美奈は、行動派の侑眞、何でも勝負にしたがる研心、慎重な巧真、聞き上手な安代、記録が得意なみなみたちと「ことば返却係」を結成。紙の生き物が示す記憶を手がかりに、言葉の持ち主と本来届けるはずだった相手を探し始める。
やがて、返されなかった「ありがとう」が本人の許可なく校内新聞へ掲載され、保護者向けの共有欄や商店街の掲示板にも転載される。すると、同じ言葉だけを繰り返す白いコピー蝉が大量発生。
やがて、返されなかった「ありがとう」が本人の許可なく校内新聞へ掲載され、保護者向けの共有欄や商店街の掲示板にも転載される。すると、同じ言葉だけを繰り返す白いコピー蝉が大量発生。
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!喉の奥に引っかかっていた「自分の言葉」を、もう一度探したくなるお話。
拝読させていただきました。
なぜか納得してしまうように毎日テンプレみたいな言葉ばかり使って、なんだか自分が薄っぺらく感じていたんですが、この物語を読んでガツンと殴られたような気分です。
綺麗に飾られた「無断転載のありがとう」よりも、泥臭くて不格好な本当の言葉のほうが、ずっと重くて価値があるんですよね。
安代たちのもがきを通して、論理や正論だけじゃ割り切れない人間の生々しい感情の揺らぎに直接触れられた気がします。
読み終えた今、急がず焦らず、自分の腹の底から出る言葉をゆっくり探してみようと、静かに思えました。