概要
一泊三枚。お客様、角で枕を裂かないでください。
「一泊いくらだ」と、たったいま殺された魔物が言った。
祖母から継いだ宿は、九日続けて空室。清掃の日当で暖炉を焚くリゼルに声をかけたのは、勇者が変身を待たずに倒したボスの、行き場のない第二形態だった。
六号室の鍵に触れると、巨大な獣は掌サイズの黒兎に。名前はモク。料金を値切り、角で枕を裂き、パンの焦げた所だけを食べる。
客は、朝の鐘を盗む魚、食料庫を守りすぎる騎士、靴を盗んでは丁寧に言い訳する箱まで。
人間の泊まり客である斥候は、傷ついた右腕と、リゼルには言えない仕事を抱えている。
そんな宿に、劇場から公演の誘いが届く。
一回で、銅貨二百四十枚。暖炉の借金を減らして、新しい寝台も買える。
リゼルは契約書へ手を伸ばした。
足元で、モクが客席に集まる人数を気にしていた。
小さな客たちと
祖母から継いだ宿は、九日続けて空室。清掃の日当で暖炉を焚くリゼルに声をかけたのは、勇者が変身を待たずに倒したボスの、行き場のない第二形態だった。
六号室の鍵に触れると、巨大な獣は掌サイズの黒兎に。名前はモク。料金を値切り、角で枕を裂き、パンの焦げた所だけを食べる。
客は、朝の鐘を盗む魚、食料庫を守りすぎる騎士、靴を盗んでは丁寧に言い訳する箱まで。
人間の泊まり客である斥候は、傷ついた右腕と、リゼルには言えない仕事を抱えている。
そんな宿に、劇場から公演の誘いが届く。
一回で、銅貨二百四十枚。暖炉の借金を減らして、新しい寝台も買える。
リゼルは契約書へ手を伸ばした。
足元で、モクが客席に集まる人数を気にしていた。
小さな客たちと
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