再会の夜、語り手は葉巻を勧め、近況を尋ね、言葉を重ねています。それなのに、相手が自分のことを語り始めてから、急に喉が締まり、伸ばした手も届かなくなる場面がある。そこで生まれる沈黙が、この作品の入口になっています。物語はその後も「手」を軸に進みます。触れられるものと触れられないもの、その間に残された言葉を辿るうちに、最初の夜の沈黙が少しずつ別の重さを帯びていきます。出来事の起伏よりも、言葉と沈黙の置かれ方や、説明されないまま残る距離をじっくり追いたい読者に向いている作品だと思います。
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