概要
終わらせるのが、ただ気まずい。都合のいい嘘を重ねて他人にも戻れない。
「水瀬ー、麦茶ない」
ソファーから声が飛んできた。
見ると、吉川が俺のスウェットを勝手に着たまま、ポテチを食っている。
「昨日お前が全部飲んだんだろ」
「覚えてない」
こいつは二週間前、サークルの男に秒で振られてうちへ来た。
それから、なんとなくまだいる。
帰れとは、まだ言ってない。
窓の外では、どこかの運動部が声を出していた。
テーブルの端で、スマホが震える。
『まだレジュメ持ってる?』
凛からだった。
少し見て、スマホを伏せる。
「誰?」
「大学のやつ」
「女?」
「まあ」
詩織は「ふーん」とだけ言って、またポテチの袋に手を突っ込んだ。
俺の部屋なのに、最近ずっと、人のいる音がしている。
終わらせられないことばかりが増えて、
俺たちは、まだ他人には戻れない。
■
ソファーから声が飛んできた。
見ると、吉川が俺のスウェットを勝手に着たまま、ポテチを食っている。
「昨日お前が全部飲んだんだろ」
「覚えてない」
こいつは二週間前、サークルの男に秒で振られてうちへ来た。
それから、なんとなくまだいる。
帰れとは、まだ言ってない。
窓の外では、どこかの運動部が声を出していた。
テーブルの端で、スマホが震える。
『まだレジュメ持ってる?』
凛からだった。
少し見て、スマホを伏せる。
「誰?」
「大学のやつ」
「女?」
「まあ」
詩織は「ふーん」とだけ言って、またポテチの袋に手を突っ込んだ。
俺の部屋なのに、最近ずっと、人のいる音がしている。
終わらせられないことばかりが増えて、
俺たちは、まだ他人には戻れない。
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