楽曲から受け取った感情を、物語として丁寧にほどいた短編だと感じました。「好き」という気持ちが、始まりのあるものなのか。それとも、気づく前からもう始まっているものなのか。屋上、図書室、雨の日の視聴覚室、夏祭り、病室。場面が移るたびに、恋の甘さだけでなく、不安や独占欲、怖さまで少しずつ重なっていきます。綺麗なだけではない恋を、ちゃんと苦しいものとして描いているところが良かったです。最後まで読むと、タイトルの『恋のはじまり』が少し違って見える作品でした。
もっと見る