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概要
『白鳥(しらとり)はまだ羽ばたかず ――榛名を望む鉄の王子』
導入文
【挿話:鉄の王子の行軍】
ヤマトタケルの喉は、常に乾いていた。
道中、略奪した酒で喉を潤しても、多くの姫たちの柔らかな肌に触れても、その渇きが癒えることはない。
彼は、父・景行天皇が放った一筋の矢だった。標的を貫き、屈服させ、更地にする。それが己に課せられた唯一の「形」なのだと信じ、真っ白な装束を返り血で汚しながら、彼はまた一つ、名もなき村を灰に変えた。
「殿、兵たちが土地の女と食糧を仕分けております。今宵はここで英気を養いましょう」
副将、大伴武日の声が、戦場に漂う焦げ臭い風に乗って届く。
タケルは無言で、奪ったばかりの乾いた飯を口に運んだ。泥と血の匂いが混じったその味は、彼の心と同じように酷く砂を噛むようだった。
奪えば奪うほど、心は空っぽに透けていく。
腰に佩(は)いたのは、
【挿話:鉄の王子の行軍】
ヤマトタケルの喉は、常に乾いていた。
道中、略奪した酒で喉を潤しても、多くの姫たちの柔らかな肌に触れても、その渇きが癒えることはない。
彼は、父・景行天皇が放った一筋の矢だった。標的を貫き、屈服させ、更地にする。それが己に課せられた唯一の「形」なのだと信じ、真っ白な装束を返り血で汚しながら、彼はまた一つ、名もなき村を灰に変えた。
「殿、兵たちが土地の女と食糧を仕分けております。今宵はここで英気を養いましょう」
副将、大伴武日の声が、戦場に漂う焦げ臭い風に乗って届く。
タケルは無言で、奪ったばかりの乾いた飯を口に運んだ。泥と血の匂いが混じったその味は、彼の心と同じように酷く砂を噛むようだった。
奪えば奪うほど、心は空っぽに透けていく。
腰に佩(は)いたのは、
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